2011年12月23日金曜日

日本のどこが好き?

こう聞かれたら,皆さんはどう答えますか?
「食べ物がおいしいところ」「町がきれい(?)なところ」「みんなが親切なところ
こういう答えは何回も聞いたことがあります.これらはみな,こんなところが好き という答えです.それとも「宮島」「富士山」「京都」などと答えるかな?この場合は,好きな場ですね.
 
 昨日(12/22),コミュンケーションコーナーにやってきたお客さん(YHさん)が,VT君(このところよく登場しますね)にこの質問をしました.YHさんが期待(想定)した答えは,ある特定の場所ではなく,「どんなところ?」の方だったようです.ところがVT君の答えは「TSUTAYA!!」.YHさんはこの答え(言葉)が全く聞き取れませんでした(まあ,彼の発音がかなり独特なこともありますが・・・).自分の質問に対して,まったく想定外の答えが返ってくると,すぐには反応できないものですね.
 おそらくVT君は,「どこ?」という質問を,完全に「場所」のことだと思ったのでしょう.彼の日本語力では,「どこ?」が「どんなところ?」を意味する(=期待される)このフレーズの場合)というのは,まだ荷が重いでしょう.実は質問された時,彼は何と答えたらいいかわからない,という困惑の表情を浮かべていました.「日本」も「どこ」も「好き」もわかる言葉だけど,フレーズ全体の意味するところがわからない.さらに来日以来,東広島からほとんだ出たことがないのだから,そんなこと言われても(どこも知らないから)答えようがないよ!という感じだったのかもしれません.それでも,何か答えなくてはというサービス精神(?)から,必死でひねり出した答えがTSUTAYAだったわけです.


 彼の答えを,YHさんの期待に応えるように読みかえてみると,
「TSUTAYA→CDやゲームがたくさんある→それらを無料で試してみることが出来る→だからそんなところが好き!」とでもなるでしょうか?彼は暇な時はよくTSUTAYAに行くようです.そんな彼の行動は,友だちもあまりいない,学校以外のアクテビティに参加する機会もほとんどない,ちょっと孤独な彼の姿を映しているようで,私はこの答えに少しばかり心が痛んでしまったのでした.(

2011年12月11日日曜日

もちつきをしました

 今日は東広島みどりの少年団の交流もちつき大会に行ってきました.U-18のメンバーに「もちつき大会に行かない?」と声をかけた時は苦労しました.「もちつきって何?もちなんて食べたことない」.来たばかりではなく,日本に数年住んでいる子でもそうでした.学校でやったことあるというのはほんの数人.さらに「日本人はお正月には餅を食べるよ」と言うと,今度は正月というのがわからない.確かに,正月(新年)というのはそれぞれの文化圏で,時期や祝い方がかなり違います.中国では春節,ベトナムではテト・・・,ハテ,インドやインドネシア,韓国ではどうだったっけ??日本に住んでいても,食や年中行事はみんなそれぞれ自国の文化をしっかり守っているようです.
 そんなこんなで迎えた今日.みどりの少年団の子どもたちと一緒に,重たい杵を振り下ろしてもちつきをしたり,粉だらけになっておもちを丸めたり,走り回ったり,おしゃべりしたり,初めて食べるおもちにちょっとおじけづいたり・・・みんな寒さに負けず,元気いっぱい楽しみました.良い交流が出来て感謝です.みどりの少年団の皆さま,本当にありがとうございました.

余談ですがひとつ発見.インドネシア&インドの仲良しコンビが日本茶を飲んだ時のこと.二人そろって「なんかこれ変な味?」「甘くない!!」.なるほど,インドでは甘いミルクティーが好まれるのはよく知られています.インドネシアは地域によって甘いお茶,甘くないお茶があるようです.
 私はアメリカに住んでいる時,全く逆の体験をしました.アメリカにもグリーンティーのペットボトルが売られています.その名はARIZONA TEA.あれを初めて飲んだ時のことは今でも忘れられません!!一瞬,ガムシロップを飲んでいるのかと思った・・・
はあ〜〜
 それにしても,ふたりとも2年近く日本に住んでいるのに,今まで日本のお茶を飲んだことなかったんかい??(

2011年12月6日火曜日

帰国する子,一時帰国する親

 彼は母国へ帰った.昨年はよくU-18に来ていたが,中学生になってからはとんとご無沙汰だった.このところとても不安定で問題行動が多かったと聞いてはいたが・・・6年生半ばで来日してからの1年半は彼にとって何だったんだろう.親は目的を持って日本に来たはずだ.それなのにアルバイトに明け暮れていた.家族を呼び寄せた以上,生活していかなければならないのはわかる.遠く離れて暮らすことが家族にとって良いとも思わない.親も苦しかったに違いない.それでも怒りはこみ上げてくる.いったい何を考えているのだ.振り回され,苦闘し,心のバランスを崩した彼が哀れだ.
 帰りたいのに帰れない子もたくさんいる.今日,頭が痛くて学校を早退したのに,貸しビデオ屋に入り浸っていた彼もその一人だ.夕方浮かない顔でやって来た.今週から親が年少の兄弟を連れて母国へ里帰りするそうだ.「ぼくも帰りたいなあ」普段はシャイで本音を見せない彼がつぶやいた.そうだろうね.「いっぱいおいしいもの買ってきてもらいなさい」私の返事は彼には虚しく響いたことだろう.
 それぞれの家庭にそれぞれの事情がある.でも自分が国を出て日本へ来るということが,我が子にとってどういう意味を持つか,我が子にどういう苦労を背負わせることになるか,それだけは真剣に考えて欲しい.振り回されて大変な思いをするのは子どもたちなのだから.
 
 

2011年11月30日水曜日

多国籍Uー18はみんなの居場所

 昨日(11/29)は定例活動日.11名の子どもが参加.出身国は中国,インドネシア,インド,ベトナム,シリア.とってもインターナショナルで,とってもにぎやかな2時間でした.11名のうち7名が中学生以上.最近のU-18 は活動開始当初より年齢層がぐっと上がっています.
 7名のうち3名は中国出身なので,お互いに母語が通じます.他の4人の母語はインドネシア語,ヒンディー語,ベトナム語,アラビア語.ということで話をするためには日本語が欠かせません.しかし来て間もない子もいるので,日本語だけでは埒があかない.そこで英語が出来る子は英語の助けを借りて,日英ごちゃ混ぜの何とも必死のコミュニケーションを繰り広げます.ところが,VT君(ベトナム)はいつかも書いたように(8/8)英語は大嫌い.普段は英語の問題を見ただけで拒否反応を起こします.そんな彼が,昨日は積極的に英語コミュニケーションに参戦してきました.
「先生,どこから来たのって英語でなんていうの?」
いや〜彼の口からこんな言葉が出てくるとは!!そして蚊の鳴くような声で
「Where are you from ?」
なんだ,やれば出来るじゃん!日頃中国トリオ(いつもはカルテットです.昨日は一人欠席.イケメン(?)揃いなので,4人そろうとジャニーズ系でデビューできるかも)が母語の世界に入ってしまうと取り残されることが多かったVT君.本当は淋しかったのかな.やっぱり友だちが欲しいんだね.


 大騒ぎしながら日本語,英語で拙いコミュニケーションを試みる子どもたちを見ていると,U-18があの子たちにとって『居場所』になってきているのかなと思う.学校で日本人の子と友だちになるのは容易ではない.学校に通ってない子もいる.自分を受け入れてくれて,自分をさらけ出すことの出来る場所と時間.そしていろいろな国から来た仲間たち.子どもたちがU-18をそんな風に思ってくれたら本当にうれしいな.もっといろいろなことおしゃべりしようね.もっともっとみんなの国のこと教えてね(

2011年11月20日日曜日

日本語スピーチコンテスト

 今日は東広島市外国人日本語スピーチコンテストがあった.発表者は全部で14人,中国,フィリピン,インドネシア,マレーシア,インド,韓国,多彩な顔ぶれだった.U-18からはAI君,KC君,ILさんが出場.さらに高校生も3人がチャレンジした.若手大活躍.たのもしい限りだ.
 AI君は緊張の面持ちで登壇した.原稿をしっかり暗記して,さらにそれを自分の言葉にしてみんなに語りかけている.いいぞその調子だ(彼の性格では上がっちゃって頭真っ白になっちゃうんじゃないかと心配してたんだけど・・・)
 
 2週間前,彼が「書いたよ」と初めて原稿を見せてくれた時,私はびっくりした.とても自然で,無理のない日本語だったからだ.そして何よりそこには,彼の素直な心,まっすぐな気持ちが溢れていた.私は読みながら目がウルウルしてくるのを感じていた.彼はしっかり自分で考えることが出来ている.国語のテストで良い点がとれなくても(本ブログ10/12参照)悲観することなんか無い.こっちの方が人間としてよほど大切だ.U-18メンバーの中で,ダブルリミテッドどころかマルチリミテッドの危険性が一番高い彼の中に,これほどの思考力,観察力,理解力が育っていたとは!!うれしい驚きだった.
 今日は日曜なのに,担任や日本語の先生(学校)が,彼のスピーチを聞きに来てくれた.何人かの同級生,姉妹,同国人の仲間もいる.さながらAI応援団だ.
 担任はそわそわしている.金曜日にクラスのみんなの前でリハーサルした時,彼は途中でど忘れして言葉が出なくなってしまったそうだ.先生は「まあヤツらしいけどな」と言いながらも気が気でないらしい.クラスメートは「彼はけっこう人気者だよ」と言いながら,彼の姉妹たちとじゃれ合っている.AI君は本当に良い人たちに囲まれている(もちろん彼の人間性がみんなを引きつけているのだが).こうした人間世界を持っているから,日本語や母語が不十分でも,彼の中にあの思考力や豊かな感情が育ったのだろう.
 そして,今日気づいたことがある.担任,クラスメートともに,彼や彼の姉妹たちを外国人(特別)という目で見てはいないようだった.一人の(大切な)生徒,一人の(大切な)友だちとして自然に接している.そう,子どもが好きで,子どものことを真剣に考えて向き合ってくれる人は,外国人とか日本人とかいう目で子どもを見ない.『その子』にとってどうしたら一番良いかを考える.担任の先生の自然な雰囲気は,とかく子どもの『外国人』の部分に目が行きがちな私に大事なことを気づかせてくれた.


 ところでAI君のスピーチだが,かっこいい部分はちょっと短かった.そこから彼は.持ち前のサービス精神で,自分のプライベートを語り始めた.完全にアドリブである.好きなテレビ番組は〜〜です.彼女が出来たんだけど振られました・・・あ〜あこれでは優勝は無理だなあ.ま,こんなだからこそ,彼はみんなに愛されているんだけど(

2011年11月16日水曜日

どしたん?

 昨日(15日),久しぶりに大人の日本語教室に行った.学習者とペアでおしゃべりしながら日本語を学ぶスタイルだ.今日のパートナーは日系ブラジル人のMさん.勉強を始めてまだ数ヶ月.『日本語これだけ』(テキスト)を使って「元気ですか?」「いそがしいです」「ねむいです」などを練習した.


 身体の調子を聞くフレーズをいくつか学ぶ中で,私は何気なく「どうしたの?」「どうしましたか?」と聞いてみた.超基本フレーズだし,職場でもしょっちゅう聞いているに違いない.このくらいならわかるだろう.しかしMさんは首をかしげている.「疲れましたか?」「ねむいですか?」「頭が痛いですか?」など,ジェスチャー混じりで具体的に聞けば理解できるのに,こういうつかみ所のないフレーズは案外難しいようだ.何かいい手はないものか・・・はたとひらめいて苦し紛れで言ってみた.
「どしたん?」
広島弁ネイテイブでない私でもこれなら言える(イントネーションに自信はないが).Mさんが,ああ!という顔になった.これならわかると言う.会社でいつもそう言われるのだそうだ.なるほど,Mさんの周りにあるのは,生きた“広島の”日本語なのだ.こりゃ,テキストには書いてないわ.


 じゃけん,どしたん? 来ちゃったですか,いけんのんよ〜,いたしい,いらう,えっと,みてる,はぶてる,たいぎい・・・Mさんの周りには,テキストに書いてない言葉がいっぱいあるにちがいない.Mさんが次にどんな言葉をキャッチしてくるか,なんだか楽しみになってきた(



2011年10月28日金曜日

余る と 足りない

 今週のU-18で難問に出くわした.中学1年生の数学で一次方程式の文章題.


問題1「何枚かの紙があり生徒に配ります.一人に4枚ずつ配ると3枚余り,6枚ずつ配ると7枚足りません.生徒は何人いるでしょう?」生徒の人数をXとして式を立てると4X+3=6X−7 X=5 答えは5人となる.


問題2「料理教室で材料費を集めることになりました.一人300円ずつ集めると800円余ります.200円ずつ集めると400円足りません.料理教室の生徒は何人でしょうか?」生徒の人数をxとして式を立てると300X−800=200X+400 X=12 答えは12人.


 IRさんは日本に来て2年.日本語のおしゃべりはとても上手だし,勉強もしっかりやっている.漢字の読み書きも随分できるようになった.母語での思考力もある.そのIRさんが考え込んでいる.「同じ『余る』なのに,どうして問題1では足し算になって,問題2では引き算になるの?」同様に『足りない』も問題1では引き算で,問題2では足し算になる.


 数学(算数)の文章題では,問題文をきちんと読んで意味をつかまえないと式が立てられない.余る=足し算,足りない=引き算のように,機械的に覚えるだけではだめだ.こういう問題に出くわすと,算数・数学は言語力(この場合は日本語力というより国語力か??)がないと出来ない!!ということがよくわかる.まあこの問題は日本人の中学生でも混乱するだろう.こういう疑問がもてるということは,IRさんの日本語力(数学力)が優れているということかもしれない.
 
 この日は学生ボランテイアがたくさんいた.みんな悪戦苦闘で説明したが,IRさんには,なかなかピンと来て貰えなかった.日本語教育を目指す学生さんたちには貴重な体験になったと思う.もちろん私もとても良い勉強になった(

2011年10月14日金曜日

日本語習得方法いろいろ

 日本に来て,初めて日本語に触れて,日本語を使わざるを得なくなって,日本語をどうにか身につけていく子どもたち.子どもによっていろいろな習得のプロセスがある.


 前回に続いてAI君に登場してもらおう.彼は経験アンテナ派だ.小学校高学年で日本に来てから,(テキストなどを使って)系統だった『日本語』の勉強をしたことはない.だから動詞のⅠグループ,Ⅱグループなんて言っても??だし,辞書形,ナイ形,テ形・・・もほとんどわかっていない.小学校での取り出しは,漢字や国語の教科書を使っての読み方や言葉の勉強だった.U-18でも教科の勉強中心だ.
 そんな彼に,最近何回か日本語のテキストに載っている練習問題をやらせてみた.文法チェックはほぼ完璧.動詞の言い換え(マス形,ナイ形,テ形など)もパーフェクトである.彼の真骨頂が出たのは「〜〜の時,『失礼します』と言います」という文を作る問題.「しょくいんしつ(職員室:漢字は書けませんでした)にはいるとき,失礼しますと言います」日本の中学校は礼儀にうるさいからねえ.まさに,日々の生活の中で,実践的に身についた日本語だ.文法チェック,動詞の言い換えも,ルールがわかって言い換えているのではなく,こういう時はこう言うよ!つまりシチュエーション(というか本能的に)で理解している.この言い方はおかしい,こういう時はこう言う!これに理屈はいらない(実は私の非常に親しい人間で,外国で現地語で数年間勉強した人も同じことを言っている.黙読では微妙な時も口に出して言えばわかるのだそうだ).
 彼が日々触れている日本語の量は膨大だ.教室,運動部だけでもすごいのに,TV大好きときている.一番のお気に入りは「世界の果てまで行ってQ!」,「にほんごであそぼ」もずっと見ていたそうだ.


 一方,来日半年,中3で超理系頭の持ち主VT君(9/28のV君改め)は理詰め文法派だ.彼は,自分の頭の中の辞書(文法書)にない言い方を耳(目)にすると,必ず「それ何形?どうやってつくるの?」と質問してくる.この間も「どうやったら「読む」が「読める」になるの?」.こういう質問が出た時,U-18ではがばっちり指導する.一気に可能形の作り方をマスターし,たくさんの動詞で使えるようになる.VT君は,理詰めで納得するタイプである.
 昨日は「い形容詞」を変化させる問題(10問くらい)で戸惑う友だちに,「おもしろい→おもしろかった,おもしろくなかった,でしょ!ぼくより長く日本にいるのになんでわかんないの?」ときた.確かに理詰め派はこういう問題には強い!でもねぇ〜〜
 外国から日本に来て,戸惑うことばかり,出来ないことばかりの子どもたちにとって「良い意味での優越感」は大切だ.こう言ってしまう彼の気持ちはよくわかる.ちょっとくらい自分の方が出来る(優る)ことがなければ,やってらんないよね.
 とは言ってもVT君,今後日本で生きていくのなら,このあたりはもう少しうまく振る舞った方がいいんじゃないかなあ.だんだんわかってくるとは思うけど・・・しばらくはVT君から目を離さない方が良さそうだ.(



2011年10月12日水曜日

子どもの苦労をわかってよ

 AI君は元気な中学生.日本に来て1年半が過ぎた.U-18中学生組の中で,ただ一人運動部に所属している.チームスポーツ,毎日練習,学年全員(一ケタ)でどうにかチームが組めるという部活である.これでは,いや(?)でも日本の学校にどっぷり浸からざるを得ない.友だちが出来ず孤立しがちな外国人の子どもの中では,異色の存在だ.
 昨日は秋休みだったので,いそがしい彼が久しぶりにU-18にやってきた.なんだか浮かない顔をしている.前期期末テスト(9月)の成績のことで,お父さんに怒られたと言う.彼にとってお父さんは絶対の存在である.テストは得意の英語(母国で学習経験あり)は90%以上,数学,社会,理科は30〜40%.来日1年半の中学生ということを考えれば,それほどひどい点数ではない.「よくやっているね」とほめてあげてもいい(ほめ方に注意が必要ではあるが→本ブログ9/14参照).運動部で鍛えられた(?)せいか,日本語の力も知らない間に驚異的にアップしていた.話す方はモーレツな早口のせいもあって,まだまだの部分も多いが,『みんなの日本語』の文法チェックをほぼ完璧に解答したし,動詞の変化もバッチリだった(非常に興味深い部分なので,この話はまた改めて書いてみたい).そんな彼でもどうにもならないのが国語だ.お父さんは「せめて50点とれ!」と言うそうだが,今回の彼の点数からは,まったくかけ離れた目標設定である.
 AI君のお父さんはなかなか教育熱心だ.お父さんは日本で苦労はしただろうが,今では自営業を切り盛りする,いわば成功者だ.努力を重ねたお父さんから見れば,あの点数は不甲斐ないのだろう(もちろん心配なのだが).経済的に安定している(AI君に家庭教師をつけている)こと,男の子への期待など,彼への期待値が高いということもある.
 しかし,来日1年半,日本に来るまで漢字とは無縁.これで『中学の国語』で50点とれと言うのは無謀だ.現実が全く見えていないと言わざるを得ない.これでは子どもがかわいそうだ.
 先日(10月1日)の講演会でも,「バイリンガル環境に暮らし,母語でない言語で学習する子どもたちが抱える大変さと危険性」は,意外に知られていないと実感した.指導者(学校の教師も含めて)がそれを知らないことは重大な問題だが,それにも増して親が知らないというのは深刻な問題だ.親自身が我が子を追い詰めてしまうことになりかねない.もっとも知っていたら,もう少し(2国間の行ったり来たりについて)考えるかもしれないけれど・・・(
 

2011年10月3日月曜日

未来の家族

 10月1日に東広島市国際化推進協議会主催「多文化共生講演会」(シリーズ全8回)の1回目がありました.その会場で,とても考えさせられる出会いがありました.その方(Bさんとします)は日本人です.ご両親も日本人.外国で育ち.ご自分の母語(というか自分が一番しっくりくる言語)は育ったその国の言葉.日本語は,お話しする分には特に問題はありませんが,明らかにネイティブという感じはしない.こうなったのは,ご両親が「とにかくひとつの言語をきちんと身につけることが大切」と考えていたからだそうです.その国の学校に通い,その国の言葉で勉強して,その言語はしっかり身につきました.現在は日本で暮らし,家族の会話は日本語.子どもは日本の幼稚園に通っている.「子どもが小学校に入った時,学校の勉強を日本語で見てあげる自信が無い.どうしたらいいだろう?」と聞かれました.これはなかなか難しい問題です.ヤッチャルにできることがあれば,何でもお手伝いしますと伝えました.
 今,U-18に来ている子どもたちの中にも,このまま日本にいたら,日本語が自分の言語になる可能性が高い子(ISさん)がいます.ISさんが将来,自分の国に帰って子育てをすることになったら,どうなるのでしょうか.確かにひとつの言語(日本語)は,それなりに自分の中で確立するかもしれない.子育てするのに,自分が一番自信のある言語は日本語になるかもしれない.でも自分の国に帰り,そのまま定住となったら,子どもはその国の学校に通い,その国の言葉で勉強し,お友達と遊ぶことになるでしょう.その時,果たしてISさんは何語で子育てするのでしょうか?
 Bさんが育った国とISさんの母国は,実は同じ国です.全くの偶然なのですが,何か運命の皮肉(?)のようなものを感じてしまいます.つまりBさんとIHさんは,同じというか反対の環境に生きているわけです.多言語環境に育つ子は,何かひとつ言語を確立することが大切です(それが母語であれば理想的ですが).その際,その子自身,そしてその時点での家族(祖父母,両親,兄弟姉妹など)との関係を考慮します.しかし,どうやらもう一人(二人,三人・・・)忘れてはいけない人がいるようです.そう,それは未来の家族.Bさんとの出会いで,大切なことに触れることができたように思います.(

2011年9月28日水曜日

試験にでるよ

 東広島市の公立学校は二学期制です。中学生たちは期末テストが終わり、答案が容赦なく(?)返され一喜一憂しています。V君に「どうだった?」と聞いたら、恥ずかしそうに見せてくれました。国語、美術などは予想通り(?)。美術のテストは言葉(単語)で答えるものが多く、記号選択式はほとんど無し。完全にお手上げ!!でした。数学は75%の出来。本人は常日頃「数学『大』好き!」と豪語(?)しています。母国で中学生課程を終了しているという強みもあります。今回のテストは計算問題が多かったということもあります。それでも来日6ヶ月なのですから、これはお見事『大』拍手です(はて、ここに『大』を使っても良いのだろうか?→参照:本ブログ「U-18の中学生(以上)たち』(8月8日))。しかし、前回のブログ(9月14日)の反省通り、「ここは計算間違い、この言葉は前に教えたから出来るはず!勉強が足りない!本当は80点以上とれている!」と、手加減抜きで答案の見直しをしました。
 
 今回のテストで、数学以上に彼の頭の良さ(?)を見せつけられたのは理科でした。
その問題の指示は「〜〜〜について『言葉』で説明しなさい」
模範解答は「滑車を使っても使わなくても、仕事量は変わらない」
 彼はこれを絵(図)を使って表しました。おおきなマルがついています。どうやら理科の先生は、話のわかる(?)人のようです。


 でも・・・これが高校入試だったらどうなるのでしょうか?問題の指示通りではないから、正解にはならないだろうなあ・・・入試は競争だからなあ・・・でも彼は『わかっている』んだけどなあ・・・


 滋賀県のセスタバジカのブログで、敬愛するよしもとさんが書いていました(「あぁいつもどおり」)。中学生、特に中学3年生と勉強していると、つい「これは高校入試に必要だからね、とりあえず覚えようね、とにかくここだけはできるようになろうね」となってしまいます。今の入試制度ではどうにもならないことは百も承知なのですが、なんだかむなしいです。でもこういうことが出来る子が、「日本語ができないから」落とされてしまったら、これは残念な気がします。高校だってこういう子が入学したら、ほかの生徒の刺激になって、大いなる恩恵(?)があるのではないでしょうか。う〜ん、どうにかならないものでしょうか。とは言いつつ、日本語もままならないV君に「入試を考えたら、英語(大キライ)もやらなきゃダメ!!!」と言って、毎日ため息をつかせているのが、わたしたちヤッチャルのメンバーです。V君「高校に受かったら、じっくり勉強しようね」(なんか矛盾してますよね)(

2011年9月14日水曜日

自分は頭が悪いから・・・

  見学シリーズ第二弾をお届けします。9月10日(土)、滋賀県の琵琶湖東岸地方を訪れました。彦根、八日市、近江八幡、このあたりではたくさんの日系ブラジル人が働いています。その子どものための私立のブラジル人学校、ブラジル人保育所などもありますが、どこも大変な経営難です。設備、授業、教員、給食、送迎、何一つ満足できる状態ではありません。


 今回案内してくれたのはHさん。昨年のJIAM研修で知り合いました。小中学校の日本語指導者として15年。現在三つの学校を掛け持ちで教えています。加えて毎週土曜日は、U−18と同じスタイルの自主運営サポート教室でボランテイア。さらに母語(ポルトガル語)教室開設にもこぎつけました。その行動力には本当に頭が下がります。


 八日市の教室(土曜午後)に来ていた中1の男子生徒は、Hさんが学校でも指導しています。彼がブラジルから日本に来たのは小学校4年の時。滞日3年が経過しました。
 まずは英語の否定形の勉強からスタート。He is not~~.He isn't~~. He's not〜〜.などの使い分けには「何でこんなにいろいろあるの?ややこしすぎるよ!!」
 彼の話す日本語はゆっくりでたどたどしい感じがしますが、言いたいことはそれなりに言えている感じです。来日3年のコミュニケーション能力としてはまずまずでしょう。しかしHさんによれば、やはり教科学習では非常に苦労しているとのこと。彼曰く
「試験では数学が50点台、理科が30点台、国語は14点だった」
 これを聞いて私は「とてもよくやっているね」と反応してしまいました(U-18でも国語一桁、数学30点なんていうのは普通です)でも彼は不満そうな顔をしています。
「こんな点じゃ、ぜんぜんたいしたことないよ。みんなもっといい点とっている」
私の反応は日本語が不十分な中でという条件をつけたものです。しかし子どもには子どもなりのプライドが有ります。本当にごめんね。そして彼はこうも言いました。
「ぼくの頭が悪いから、こんなに勉強ができないんだ・・・」
“頭が悪いから”Hさんが一番気がかりなのがこの言葉です。彼は普段からよくこう言うのだそうです。そんな彼に対して、Hさんは
「テストで点がとれないのは、あなたの頭が悪いからではない。日本語もポルトガル語も思うようにならないあなたをきちんと指導できる人が残念ながら誰もいないの。本当にごめんね。あなたは何も悪くないのよ。私もポルトガル語ができなくて申し訳ないけど、いっしょに勉強していこうね」 
 彼の歴史の教科書にはルビがびっしりふられています。Hさんが彼のリクエストに応えて少しずつ書いてあげているそうです。しかし徳川家康すら知らない子どもたち(隣で勉強していた中3グループがそうでした)に、歴史の勉強は重荷でしょう。読むだけ書くだけでは時間の無駄のような気がします。Hさんも内心、日本語の基礎固めや数学、歴史より地理をやる方が良いと思っているそうですが、みんなと同じことをやりたいという彼の気持ちもわかると言います。


 ふたつの言語の世界に生きる子は、“一時的に”ダブルリミテッド(どちらの言語も不十分な状態)に陥ります。そのような子どもがどのような問題を抱え、どのような気持ちでいるのか、彼を見ていると非常によくわかります。ダブルリミテッドは、ほっておいても時間がたてば解消できるものではありません。子どもたちが一番必要としているのは『適切な指導』です。しかし「だれも適切に指導できる人がいない」というHさんの言葉。本当に重くのしかかってきます。(


追伸その1
http://blog.goo.ne.jp/cestabasica/e/f21307ce4cca7171ac3ef9512530d251
案内してくださったHさんもあの子のことを書いています。あわせてお読みいただければ幸いです。セスタバジカは滋賀県の市民団体です。リンク集に加えましたので、是非皆さん訪問してくださいね。
追伸その2
リンク集を作りました。のしろ、滋賀、今後もどんどん交流を広げていければなと思います。

2011年9月8日木曜日

トップの見識

 随分ご無沙汰してしまいました。U-18は夏休み活動が無事終了し、9月6日(火)から通常活動体制に戻っています。


 9月7日、愛知県豊田市の日本語教室を覗いてきました。案内してくださったのは名古屋大学とよた日本語学習支援システムのK氏です。ヤングナイスガイ(?)で地元愛知県をこよなく愛しているとお見受けしました。


 その教室はある製造業の企業内で開かれています。学習者はブラジルから来た日系人の方々で、授業の雰囲気はとても和やかでした。
 一企業が社員のために日本語教室を開くというのは、東広島市ではほとんど聞いたことがありません(事業団がやっている日本語教室に、企業の担当者が社員や研修生を何人かまとめてつれてきたことはあります)。豊田市の企業はさすがに意識が高いなと思っていたら、K氏が興味深いことを教えてくれました。
「企業の日本語教室というと、まずは仕事に必要な日本語を教えるということになりますよね。企業の期待はそこにあるはずだし、学習者もそう思うでしょう」
「本当にそれでいいのでしょうかね。生活に必要な日本語、学習者のニーズにあった日本語も取り入れたいところです。でも会社の目(?)が気になりますね」
「ある時、一人の重役さんが、“専門でない”日本語を学習しているところを見学したんです。その方が『こういうのはとても良いですね』と言ってくださいました。これで安心して(?)指導出来るようになりました」
 私が参加したグループは『自分が日頃どんなものを食べているか』というテーマで学習しました。確かに『企業で直接必要な日本語』ではないトピックです。肉、サラダ、豆をかけたご飯、お茶というのが皆さんの食事の定番でした。なるほどブラジルの味ですね。私自身、料理や食べ物には人一倍興味がありますから。一緒に学習したKZさんと話が弾みました。


 この日本語教室は、日勤の後、夜勤の前という時間に開かれます(時間延長は一切出来ません)。働いてくたくたになった時、日本語教室で学ぶことまで仕事のこととなれば、誰しも(本音は)うんざりでしょう。「そんな言葉もおぼえてないの」なんて、同僚から(何せ学習者はすべて同僚ですから)言われてしまうかもしれません。加えて「おまえ先週欠席したな」なんていう監視(?)機能が働くこともあるそうです。このあたりはいろいろな人が参加する町の日本語教室とはちょっと違いますね。
 仕事で必要な日本語を身につけることは大切です。しかし、そういう直接的なことでなくても、日本語教室が楽しく、居心地が良く、もっともっと日本語を覚えたいと思えたら、それは労働意欲向上にもつながるのではないでしょうか。
 いち企業が自社の従業員のために日本語教室を開き、その内容も決して仕事優先ではなく幅広い。それもこれも企業のトップの見識(とツルの一声)があればこそ。なんかとても考えさせられる見学となりました。


K さん、本当にありがとうございました。例のマンガ、見つかりましたか?東広島でお会いするのを楽しみにしています。光に満ちた瀬戸内海にも再会してくださいね。(♪)


 

2011年8月19日金曜日

ついにできた!

 2年生の女の子。来日1年半、昨年秋からU-18に来ています。今まで何度トライしても繰り上がりのある足し算ができませんでした。指をつかってがんばるのですが、何度やってもうまくいかず「もういや、やらない!!」と投げ出していました。彼女は数ヶ月前からそろばんに通っています。そろばんの珠を見ながら数というものを目で実感したおかげか、10までの足し算ならかなりスムーズに行くようになりました。
 
 今日は100マス計算で足し算をやりました。繰り上がりのあるもの、ないものが混ざっています。〜+10=はスイスイできます。1のよこに〜を書けばいい訳ですから。繰り上がりのない足し算もいまや十八番(?)になっています。できるところから埋めていったら、100マス計算のマスが虫食い状態になってしまいました。いつもならここでポイッとなるところです。しかし今日は人手に余裕があったので、ボランティアのW君(彼は子どもの扱いがとても上手です)と二人がかりで、逃亡を許さずおさえこみ(?)ました。そして7+5=なら「7にいくつたすと10になる?」、9+8=なら「9にいくつたすと10になる?」と、一問一問丁寧に聞いていきました。逃げ出しそうになるとW君がじょうずに引き戻します。こうして何問か繰り返していたら、「7+3=10だ!そうすると、5から3なくなったけどまだ2残っている。ということは答えは12?」ついにこのフレーズが彼女の口から飛び出しました!!やったあ!!7+5=7+3+2=10+2となおすこともできるようになりました。


 こうなったらしめたものです。もともと非常にノリの良い(良すぎる)性格ですから、つぎつぎに答えを出していきます。そして言った言葉が「なんだこんなに速くできるんじゃん!」自分で自分に驚いたのでしょう。今までの自分はなんだったんだと思ったのかもしれません。これまで彼女は “集中力のない子” でした。でも今日の姿を見て、うまくできないからいやになっていたんだなあと、あらためて思いました。できるって子どもにとって本当にうれしいことなのですよね。しかもみんなからたくさんたくさんほめて貰えたし。とはいってもこれでしっかり定着したとはとても言えません。これからは「私出来るようになったからもうやらなくてもいいもん!」と言わせないように、いっそう締めて(?)かからねば・・・


 子どもが何かをできるようになった、理解できた、まさにその瞬間をみることができたのには本当に感動しました。(


 

読み聞かせ

 にほんごひろばU-18、夏休みの活動は宿題や日本語学習が中心です。正味2時間、子どもたちはじっくり(?)勉強します。でも「勉強ばかりじゃ疲れちゃうよ」「お楽しみはないの?」という声もあちこちから聞こえてきます。ということでリクエスト(?)に答えて、本日は読み聞かせをタイムをもちました。
 
 協力していただいたのは「安芸津えほんの会」の皆様です。『ペネロペうみへいく』『どろんここぶた』『わゴムはどのくらいのびるかしら』、そして紙芝居『なんでもなおすおいしゃさん』を読んでいただきました。子どもたちの日本語レベルはさまざまですが、絵をじっくりながめる子、読み手の言葉にしっかり反応する子、積極的に茶々を入れる子と、それぞれ自分なりに楽しんだようです。
 一番受けていた(子ども、ボランテイア、読み手の意見が一致しました)のは、『わゴムはどのくらいのびるかしら』。大型絵本で絵が見やすかったのが良かったようです。そして、いろいろなところへ出かけるというストーリーには、いろいろな国から来ている子どもたちの心に何かしら響くものがあるのではないかなあと想像しています。(

 


2011年8月13日土曜日

子どもたちの進路

 8月8日付でがU-18の中学生の様子を報告しました。中学生たちは夏休み中、定例活動以外にもサンスクエアに来て、自主的に(?)勉強しています。その子たちの前に立ちはだかる最大の難関は・・・


 中学生には高校入試というものが目の前に立ちはだかっています。特に中3の子たちは学校の雰囲気が受験一色になっていくこれからが、つらいところです。「高校に行きたい。そして大学も」と強く思っている子は、何とか普通高校へ行けるように支援したいと思いますが、現実は厳しい・・・
 一つでも得意科目(数学や英語)があるとそれに頼り、それでなんとかなると子どもたちは思っているようです。でも広島県の公立高校を受験するなら5科目が必要です。国語、社会、理科は日本語の壁が厚く、どこからとりかかればいいのか、全くお手上げという感じです。ある論文を読んでいたら、2001年の調べでは広島県にも外国人枠があったらしいことが書いてありましたが・・・最近はどうなのか、広島県教委に問い合わせてみたいと思います。
 一方で、「中学でもういいや。高校には行きたくない」と思っている子もいます。このような子を、どう支援したらいいのだろうと途方に暮れてしまいます。日本で生まれ育った子で、日本語が遜色ないとしても、中卒では仕事を探すのは至難の業です。何か技術が学べるところと思っても、その子は何をしたいと思っているのか・・・
 彼ら自身に10年後の自分をイメージさせるのはほんとうに難しいのです。周りにロールモデルがいません。職業選択のための教育も必要だと思いますが、私たちの活動はまだそこまで行っていません。最近の専門学校の募集要項をネットでちょっと見てみましたが、中卒を受け入れるところは非常に少ないです。学力が付いていない。その上日本語もあまり・・となると非常に厳しい現実が待ち構えています。
 このような子どもたちが、これから先、どうしたらこの日本社会で生きていくすべを身につけていけるのでしょうか。きちんと就業することなく職を転々とする・・ということになってしまうのではないでしょうか。そして子どもたちの保護者、学校の先生たちは、このような現実をどうとらえているのでしょうか。(

2011年8月12日金曜日

保護者からの相談

  U-18メンバーのお母さんから、教育相談を受けました。学業がほかの子に追いついていかない。学校の先生から専門家に相談するように言われている」
お母さんは
「私が外国人だから子どもの勉強を見てあげたくても良くわからない。ほんとうにくやしいよ。先生!」
心配で心配でたまらないのに、自分ではどうすることもできない。お母さんの気持ちは痛いほどわかります。
しかし、今の私たちにできることは、その子に にほんごひろばU-18 に来てもらい、ときどきお母さんの愚痴を聞くことぐらいです。


 この前日も、ある子のお父さんが「息子の学業が心配」と相談に来られました。学校に相談に行くのは敷居が高いようです。私たちの活動は、子どもたちの学習支援だけではすみません。このような保護者の悩みをどう聞いて、どう学校や教育委員会に伝えていくか。そんな役割もあると、このごろ思います。(

2011年8月11日木曜日

国語学習の落とし穴?

 本日はU−18の活動日でした。子ども16名、ボランティアも16名。「NHK広島」の取材もあり大盛況でした。NHKは明日(8/12)の朝のニュースで放映されるとか。


 久しぶりに顔を見せた6年生のF君。南アメリカの日系人ですが、ほとんど日本で育っています。日本語も学力も大きな問題はなく、とても礼儀正しい少年です。今日の課題は「平和のとりでを築く」(国語)のドリル。夏休みの宿題です。ボランティアの手が足りないこともあって、初めのうちは1人で黙々と取り組んでいました。ときどきのぞいてみると、丁寧な大きな字で8割方答えが書かれていました。さすがF君、ほとんど正解です。彼には大きな問題は無さそうだなと思いつつ、それでも確認のつもりで最後の問題につき合うことにしました。


設問は『国連ユネスコ憲章には〜〜についてどのように記されていますか?』


 本文には 「国連ユネスコ憲章には「〜〜〜」と記されています」 とありますから、F君も「」の中を抜き出して書こうとしました。国語の設問に答える『テクニック』はきちんと身についています。そんなF君に聞いてみました「国連って知っているかな?ユネスコはどう?憲章って何かな?」彼は怪訝な顔をして答えに詰まってしまいました。


 国連、ユネスコ、世界遺産などは、国語だけでなく社会の時間やTVのニュース、新聞でもよく見かける言葉です。6年生なら何となくでも知っている言葉ではないでしょうか。特に広島県には、宮島、原爆ドームのふたつの世界遺産がありますから、世界遺産のない県の子どもより目にする機会は多いはずです。F君の場合は、なんとなく聞いた(見た)ことはあっても、それを説明する語彙がなかったのかもしれません。
 言葉の意味や文章の内容が理解できなくても、テクニックを知っていれば設問に答える(書く)ことはできます。しかし答え合わせをする時、答えが正解だから安心してしまうと、このような落とし穴が待っています。これは外国につながる子だけでなく、日本人の子でも同じことではないでしょうか。F君がこのまま、正解!良くできるね!安心!と思われてしまったら、彼のボキャブラリーや知識は年齢相応に伸びていかないでしょう。それらがなければ、年齢相応の思考力を身につけることは困難です。F君は大切なことを教えてくれました。設問に『正解』しても、それで安心ではないということです。(

2011年8月8日月曜日

U-18の中学生(以上)たち

 にほんごひろばU-18は7月25日から夏休み体制です。毎週月、木、金の午前中、学校の宿題、日本語学習、遊びなどを行っています。夏休みに入って、子ども、ボランティアともに参加者が増えました。毎回、中学生以上が5〜6人、小学生が7〜8人というところでしょうか。ニューフェースも多く、初めのうちはバタバタしました。最近はいつものペースが戻ってきています。
 今回は常連の中学生(以上)メンバーの様子をお伝えします。比較的高い年齢で来日した子はどのような問題を抱えているのでしょうか。
 
 V君(来日4ヶ月)は数学が得意ですが英語は大キライ!。この‘大キライ’という言い方を覚えた時、彼は、いろいろな形容詞に‘大’をつけようとしました。たとえば、大きれい、大きたない、大大きい(?)とか。「何でこういうのはだめなの?」(大)不満そうでした。超(キライ、きれいなど)なら何にでもつけられて便利ではありますが・・・
 それはさておきV君に「高校入試には英語があるよ」と言うと「母国の高校入試には英語の試験はない!」と口をとがらせます。そのつもりでいたのに、急に英語と言われて戸惑う彼の気持ちはよくわかります。来日当初はそんな不満も口にできなかった(日本語力ゼロでしたから当然ではあるのですが)ことを思えば、不満も大いに歓迎です(いつでも聴くからね)・・・が、現実は厳しいというのが正直なところです。
 
 中学を卒業したC君(来日1年)が半年ぶりに現れたので、ヤッチャル一同ビックリしました。改めて高校入学を目指したいから勉強する!そうです。彼には以前、とても不安定な時期がありました。今は自分のペースでいられるからか、顔つきが穏やかになっています。周りのことに興味を持ち、自ら質問してくる(母語でですが)ようになった姿を見てちょっと安心しました。でも真剣に高校を目指すなら、もうちょっと勉強しないとねえ・・・まあどうにか宿題をやってくるようになったのは大進歩だけど。
 
 Iさん(来日1年半)はV君とは反対に英語(母語ではない)は得意で大好き。将来は英語の先生になりたいとか。でも母国の学校で算数をあまりやらなかったので、基礎、それも最も大切な部分が抜けています。説明(日本語+英語)すれば理解できるので、抜けている部分(実は小学校3〜4年生の内容)をいちから補習中。でもこの『抜け』は、中学ではまったく見過ごされてしまっています。日本と母国のカリキュラムや進度の違い。多くの子が悩まされていますが、日本の学校の先生はそこまで手が回らないようです。ただし数学ばかり2時間もやるとIさんの集中度は目に見えて落ちます。そりゃそうですよね。ということで英語をやりながら日本語の確認をしていくというように、本人の得意科目も入れてバランスをとるようにしています。

  Ch君は来日半年。母国でもあまり学校へ行ってなかった様子。日本へ来てからも、彼を取り巻く環境はなかなか厳しいものがあります。でも穏やかでのんびりし(すぎ)た好少年。おなかが痛い(?)と、学校もU-18の活動もすぐ休んでしまいます。彼はあと半年で中学を卒業します。でも自分の将来を全く描けない様子。もちろん今のまま(日本語、学力ともに)では日本人と一緒の高校入試は全くきついでしょう。かといって就職といっても・・・いったい彼に何ができるのだろう。親に連れて来られたがゆえの子どもたちの苦労(苦悩)。子どもたち自身に責任はありません。だからといって、「かわいそうだねえ」と甘やかしっぱなしにしていては、一歩も踏み出すことはできません。この辺のさじ加減は本当に難しいところです。(
 

2011年8月5日金曜日

東広島消防署見学




 8月4日、東広島消防署を見学に行きました参加者はこども:15名、ボランティア:11名、お客様2名の総勢28名。大盛況でした。
 初めに消防署員のお話を聞き、DVDを見た後、指令室を見学しました(上の写真)。どのように火事や救急の通報が入るのか、どのように火事や救急の場所が分かるのか、とてもよくわかりました。そして実際に自分の住所を言って、指令室の前面にある市内地図から、その住所を探し出す作業を見せてもらいました。自分の家の住所が正確に言えない子もいました(外国人の子には多いです)が、署員の方がその子の隣の家の名字を聞き出して、正確に場所を特定できました。小さな手がかりが大切なことがよくわかります。
最後に、子ども全員がはしご車(高さ25メートルまで上昇)にのせてもらいました(下の写真)。消防車にも乗せてもらい、ボンベやマスクなど装備を装着させてもらったりもしました。みんな大興奮でした。

 子どもたちにはかなり楽しい企画になったのですが、肝心の「火事の時はどうしたらいいか」ということが頭に入ったのかどうか・・・う〜ん、これは大いに疑問です。(

2011年7月8日金曜日

短冊に願いを

広島県地方、今年の七夕はイマイチのお天気でした。皆さまのところはいかがでしたか?
サンスクエア東広島(U-18の活動拠点)一階コミュニケーションコーナーには、毎年、インターナショナルな七夕飾りがお目見えします。短冊に書かれた言語は、ちょっと見ただけで、ヒンデイー語、ベトナム語、中国語、英語、日本語・・・大人も子どもも、みんな心を込めて書きました。南アジア出身のSさんは「何を書いたかは秘密!!母語ならみんなわからないと思うから、安心してたくさん書けるね」と笑顔を見せてくれました。Sさんの書いた3枚(!)の短冊、彼女の心の内を知りたい気もするけど、お願いは空(織女?)に届けばいいのでそっとしておきましょう。(

2011年7月3日日曜日

こんにゃく、こんちゅう、にゅうどうぐも

 拗音の書き方を勉強中(学校の宿題)のF君(小1)が、私のTシャツを引っ張った。わからないから教えて!と言う。彼ははにかみやである。自分から話しかけてくることは滅多にない。でも、わからないことがある時は、決して放り出さず食いついてくる。これにはいつも感心する。

 プリントには絵が描いてあった。それを見て字数分のマスに文字を埋めていくのだ(拗音のところは一マスが4分割されている)。拗音まで来ているのだから、ひらがな、濁音はすでに書けるようになっている。
 こんにゃく。彼は保育園に半年通ったし、小学校生活も早3ヶ月。その間、ずっと給食を食べている。一回くらいおでんにお目にかかっているのではと思ったのだが・・・食べたことない!と言われてしまった。
 こんちゅうのところには、テントウムシとカブトムシの絵があった。このふたつはちゃんと知っていた。カブトムシは子どもたちに根強い人気がある。保育園では必須ボキャブラリーなのだろう。でもそれらを総称して、こんちゅう、となると荷が重いようだ。
 にゅうどうぐも、これは見たことあると言う。しかし言葉は知らなかった。日本の子なら、夏の空を見上げている時、かみなり、おへそ、なんていう会話(古いかな?)の中で、聞いたことがあるだろう。

 F君はきちんと正確に(日本人の子以上だ)文字を書く。その面では安心して見ていられる。しかし、日本人の子なら当然知っている(と期待される)ボキャブラリー(音、意味、経験)がない。こんにゃくだって、日本人の6才の子なら「冬によく食べる(コンビニのレジの近くにある)おでんの、暖かい、くにゃくにゃしたもの→こんにゃ→なるほどこう書くんだね!」(頭の中にある音声ボキャブラリーを文字化する)となるだろう。しかしF君は、見た(意識した)ことも食べたこともなかった。
 三つの単語に首をかしげるF君を見た時、小1の『国語』で行う文字書き練習は、頭の中に音声を伴ったボキャブラリーをたくさん持っていてこそ(効果的)なのだと改めて思った。
 当たり前のことだが、外国から来た子は日本語のボキャブラリーが乏しい(ゼロからスタートする子も多い)。そのような子が、日本の子と同じように、学校で日本語『で』学習を進めていくのは、たとえ1年生と言えども、本当に大変なことなのだ。(

2011年6月21日火曜日

家族の会話は何語で?

 U-18の常連メンバーに、「とっても元気な低学年&しっかり者の中学生」という姉妹がいる。低学年ちゃんが来ると、良くも悪く(?)も定例活動が活気づく。ムードメーカーとして貴重な!!人材だ。
 今日、低学年ちゃんは、母親と一緒にやってきた。お母さんは「わたしも日本語の勉強がしたいです」。今までに一度も日本語の勉強をしたことがないそうだ。
 
 U-18では、保護者が一緒にやって来て、自分にも教えて欲しいというのはよくある。ヤッチャルとしては、可能な限り要望に応えているが、正直言って人手が足りない時は、ちょっと苦しい・・・
 
 ところで、お母さんは、どうして日本語を勉強したくなったのだろう?自営業を営むお父さん(仕事柄、達者な日本語をしゃべる)の手伝いで、とてもいそがしいのに・・・何より、なぜ『今』なのだろう?
 しっかり者のお姉ちゃんによると、「お父さんとわたしたちが日本語でしゃべっているから、お母さんさびしいみたい・・・」
 姉妹とお母さんは、日本に来て1年になる。中学生のお姉ちゃんは今でも母語をすんなり話すが、低学年ちゃんはかなり“意識して”話しているように見える。状況によっては日本語の方が楽そうだ(学習言語はまだまだ!!だけど)。流行の言い回しや悪態、Bad Wordでは、日本人顔負けのこともある。そのキャラクターから見ても、家族の会話が末っ子ペースになってしまうというのは想像に難くない。

 もちろんお母さんだって、これから日本で生きていくのだから、日本語を覚えれば自分の世界が広がる。その意味では日本語学習大いに歓迎だ。心から応援したい。けれど、家族の会話が日本語優位になってしまい、お母さんが淋しそうというのは、どうなのだろう。私はとてもひっかかってしまうのだが・・・この「ひっかかり」についてはまた近いうちに書いてみたい。(

2011年6月18日土曜日

東広島市は広い・・・

 今週は小学校高学年から中学生の年齢の子どもについて、相談を受けたり耳にしたりすることが多かった。そのうちの2人は母親が日本人男性と再婚したため、国から連れてこられた子どもたちだ。来日したばかりの子については、学校に行っても初めの数週間は学級担任の配慮だのみという状況である。サポートが少ない中で、来日直後の精神状態がなかなか安定せず、学校に通っていない子もいる。
 また、ある子は、日本で生まれ、小学校までは順調だったのだが、中学に入った途端に学校に行きたくないと言い出したとか。ちょっとした同級生の言葉がその子を傷つけているようだ。
 さらに、お母さん自身の悩みに付き合うこともあった。どうしたらこの厳しい現実を乗り越えられるのかと言う。
 このような子どもたちにどう寄り添ったらいいのだろうか。U-18は週に1回だけの活動だ。その上、広い市内に1つだけの教室なので、市の中心部から離れた地域で苦しんでいる親子にはなんの助けにもならない。先週から今週にかけて相談を受けた子どもたちのほとんどが、親の助けがないとサンスクエア(JR山陽線西条駅に近いU-18の拠点)には通えない距離のところに住んでいる。
 焼け石に水かもしれないが、ヤッチャルの活動が、外国につながる子どもたちの居場づくりになりつつある現状を見ていると、遅々としたものでも続けていかなければならないと強く思う。(

2011年6月10日金曜日

U-18の課題

 ヤッチャル活動開始から1年、子どもたちとつき合う中でいろいろな課題が見えてきました。ここらで一回、整理しておきたいと思います。目の前に立ちはだかる山はとても険しいですが、だからこそやりがいもあるのかなと思いつつ・・・

1:来日直後・学校への転入直後に必要なサポートをどうするか?
 学校に通いだしたばかりの時には、特に手厚いサポートが必要なのではないでしょうか。子どもたちを見ていると、もう少しきめ細かいサポートがあってもいいのでないかなと思います。教育委員会や学校とともに、サポートの方法や体制について、考えていけるといいのですが

2:全体に共通する日本語指導のノウハウの確立+個々のサポートの方法(様々なサポートのバリエーション)が大いに求められるところです。

3:子どもたちの思考力を伸ばすために何が必要か?
 子どもたちは母語も日本語もどちらも発達しきらずに日本に来てしまい、日本語の海の中をアップアップしながら必死で泳いでいます。ややもすると母語でも日本語でも思考ができない子になってしまいます。
 昨日ある中国人の中3男子に、中学の生活について作文を書いてもらいました。つたない中国語ですが、彼の苦衷がよくわかる作文でした。それを読んで、母語がしっかりしない限り思考力は付いていかないとつくづく思った次第です。自分の気持ちを書き表すことで、自分の頭の中を整理することができます。母語保持にもつながります。母語で作文を書かせることが、思考力を伸ばす事にならないだろうか・・・と思いました。何を書かせたらいいのか、どのようなアドバイスをしたら心のなかにあることが表せるのか、そんなことを知りたいと思います。
 ただし子どもたちの母語は多岐にわたっています。母語でそのような思考力をつけるようにサポートするとなると、子どもたちの母語を知っているボランティアが必要になります。それをどう確保するか、これは非常に大きな、そして難しい課題です。

4:『居場所』とは?
 子どもたちは学校では日本語で他の子とやりとりが出来るようにならない限り、居場所が不安定です。U18では少なくとも誰でも参加でき、居心地の悪さを感じさせない活動を心がけて行きましょう。私たちの活動を居場所づくりにつなげていきたいです。
 子どもたちを見ていると、1週間に一度ですが、お互いの存在がそれぞれの心の支えになりつつあるように見えます。これから先も日本で生きて行く彼らであれば、今後もお互いをサポートしあえる関係になったら心強いことでしょう。そのような仲間づくりをどう創りだしていけるかを考えたいと思います。

5:子どもたちの自尊意識を高めて行くには?
 日本に来て日本の学校に通う子どもたちは、教科学習を日本語で行うだけでなく、行動規範、生活習慣、友だち関係など、生活文化交友面でも 日本 にどっぷり浸かっていきます。時には自分たちの文化について、お友だちから心ないことを言われてしまうこともあるでしょう。自分の国を離れている子どもたち、もしかしたらこれからずっと日本で暮らしていく子どもたちであっても、自分たちの文化を大切にして欲しい。それができて初めて子どもたちは自分に自信が持てるのではないかと思います。
 U−18では、子どもたちが自分の国や文化を大切にしながら、日本とみんなの国を尊重する姿勢をもてるようにしていきたい。そのためにやるべきこと、できることは何かを考え実行していくことも大切な課題だと痛感しています。(

2011年6月1日水曜日

計算は何語で?

 昨日、10ヶ月ぶりにN君(小3)が、Uー18に参加した。大学生と一緒に算数の宿題をやっていくうちに、四則演算があやしいことがわかってきた。昨年の夏(にほんごこどもクラブ)は、時計の読み方で苦労していたっけ。あれからずっと日本の小学校へ通って日本語で勉強している訳なのだが・・・どうやら日本語、母語どちらの言語でも、計算がしっかりできないようだ。九九はどうにか暗記しているが、肝心の足し算が心もとない。
 高学年のA君も計算が苦手である。A君は、自分が使える(と言ってもそれぞれ問題があるのだが)3言語のどれでも、声に出して計算をやらない(できない)。本人は数字を見れば音がなくても計算できると言うのだが・・・
 私はこの年(?)になっても、計算する時は頭の中で九九を唱えている。繰り下がりの時は、「10の位から10借りてきて10ひく7は3,3たす2は5」という具合だ。九九の暗唱だけでなく、低学年でやる計算は、頭の中に音を伴ってたたきこまれている。音があるから暗算や見当付けがなんとかなると自分では思っている。しかしA君は割り算で見当をつける時も、すべて紙に書いて計算する(商に6がたつかな(筆算)あ、だめだ、じゃあ7かな(またまた筆算))。もちろん、音にしなくても、見れば、書けば計算はできる。ただしいちいち書いていたのでは時間がかかることおびただしい。
 母語と日本語、どちらの言語でもいいから計算をしっかり身につけておかないと、この先の算数、数学の勉強は茨の道になってしまうのではないだろうか。(

2011年5月31日火曜日

みなさまこんにちは

 みなさまこんにちは。広島県東広島市で活動中のNPO「こどものひろばヤッチャル」です。20105月の結成から早1年が過ぎました。ところでヤッチャルとは、どんな人間の集まりで、どこで、どんなことをしているのでしょうか? そのあたりは、わたしたちのHP ヤッチャル&U-18 をご覧くだされば幸いです。このブログでは、私たちのメインプログラムである「にほんごひろばU-18」の活動風景、ヤッチャルメンバーが日頃考えていること、そして地元東広島市の素顔など、気の向くままに紹介していきます。

 今日は定例活動(毎週火曜日)でした。そこでブログ第1回は、U−18に参加している子どもたちの近況報告をお届けします。本日の参加者は子ども7名(インドネシア、中国、フィリピン、ベトナム)、ボランティア8名でした。
 E君(来日して10ヶ月)は最近とみに活動的になり、日本語も上手になってきて、話すことが楽しくなってきているようです。今日も明るく、いろいろなことをボランティアに話して行きました。やはり日本語の上達というのは子どもたちの精神によい影響をあたえるようです。
 中学に進学したL君は最近学習にあまり身が入っていないようで、彼を中学で指導している先生が心配していました。母語での指導があれば、もっと伸びるであろうに、残念です。生活語もまだまだだと思いますし・・・彼はクラブがいそがしいようです。中学校でのクラブ活動も今の彼らの状況を考えると考えものです・・A君も含め、彼らには、少なくとも週1回ぐらいはU18での学習をして欲しいと思うのですが・・・他に学習の場があれば別ですが、学校では日本語教室以外はあまりケアされていないと思います。歯がゆいです。
 T君はいつも熱心に勉強していますが、学校ではまだ日本語教室が設置されていないようです。早く学校でのサポートが始まると良いのですが・・・
 腹痛のK君は初めてサンスクエアの日本語クラス(東広島市の国際交流・支援事業のひとつ)を休みました。学校には行きたくなくても日本語教室には必ずやってきていたので、ちょっと心配です。
 C君は学校で課外活動を始めたとかで、今後も欠席が続くかもしれません。彼曰く「いけそうなときはいきます」とのこと。
 今日はボランティアに大学生が来てくれました。子どもたちは、若くて元気なお兄さん、お姉さんがサポートしてくれるので、とても嬉しそうです。若い力は本当に貴重ですね!!

それではまた来週よろしくお願いします。(