2011年8月11日木曜日

国語学習の落とし穴?

 本日はU−18の活動日でした。子ども16名、ボランティアも16名。「NHK広島」の取材もあり大盛況でした。NHKは明日(8/12)の朝のニュースで放映されるとか。


 久しぶりに顔を見せた6年生のF君。南アメリカの日系人ですが、ほとんど日本で育っています。日本語も学力も大きな問題はなく、とても礼儀正しい少年です。今日の課題は「平和のとりでを築く」(国語)のドリル。夏休みの宿題です。ボランティアの手が足りないこともあって、初めのうちは1人で黙々と取り組んでいました。ときどきのぞいてみると、丁寧な大きな字で8割方答えが書かれていました。さすがF君、ほとんど正解です。彼には大きな問題は無さそうだなと思いつつ、それでも確認のつもりで最後の問題につき合うことにしました。


設問は『国連ユネスコ憲章には〜〜についてどのように記されていますか?』


 本文には 「国連ユネスコ憲章には「〜〜〜」と記されています」 とありますから、F君も「」の中を抜き出して書こうとしました。国語の設問に答える『テクニック』はきちんと身についています。そんなF君に聞いてみました「国連って知っているかな?ユネスコはどう?憲章って何かな?」彼は怪訝な顔をして答えに詰まってしまいました。


 国連、ユネスコ、世界遺産などは、国語だけでなく社会の時間やTVのニュース、新聞でもよく見かける言葉です。6年生なら何となくでも知っている言葉ではないでしょうか。特に広島県には、宮島、原爆ドームのふたつの世界遺産がありますから、世界遺産のない県の子どもより目にする機会は多いはずです。F君の場合は、なんとなく聞いた(見た)ことはあっても、それを説明する語彙がなかったのかもしれません。
 言葉の意味や文章の内容が理解できなくても、テクニックを知っていれば設問に答える(書く)ことはできます。しかし答え合わせをする時、答えが正解だから安心してしまうと、このような落とし穴が待っています。これは外国につながる子だけでなく、日本人の子でも同じことではないでしょうか。F君がこのまま、正解!良くできるね!安心!と思われてしまったら、彼のボキャブラリーや知識は年齢相応に伸びていかないでしょう。それらがなければ、年齢相応の思考力を身につけることは困難です。F君は大切なことを教えてくれました。設問に『正解』しても、それで安心ではないということです。(