2011年11月20日日曜日

日本語スピーチコンテスト

 今日は東広島市外国人日本語スピーチコンテストがあった.発表者は全部で14人,中国,フィリピン,インドネシア,マレーシア,インド,韓国,多彩な顔ぶれだった.U-18からはAI君,KC君,ILさんが出場.さらに高校生も3人がチャレンジした.若手大活躍.たのもしい限りだ.
 AI君は緊張の面持ちで登壇した.原稿をしっかり暗記して,さらにそれを自分の言葉にしてみんなに語りかけている.いいぞその調子だ(彼の性格では上がっちゃって頭真っ白になっちゃうんじゃないかと心配してたんだけど・・・)
 
 2週間前,彼が「書いたよ」と初めて原稿を見せてくれた時,私はびっくりした.とても自然で,無理のない日本語だったからだ.そして何よりそこには,彼の素直な心,まっすぐな気持ちが溢れていた.私は読みながら目がウルウルしてくるのを感じていた.彼はしっかり自分で考えることが出来ている.国語のテストで良い点がとれなくても(本ブログ10/12参照)悲観することなんか無い.こっちの方が人間としてよほど大切だ.U-18メンバーの中で,ダブルリミテッドどころかマルチリミテッドの危険性が一番高い彼の中に,これほどの思考力,観察力,理解力が育っていたとは!!うれしい驚きだった.
 今日は日曜なのに,担任や日本語の先生(学校)が,彼のスピーチを聞きに来てくれた.何人かの同級生,姉妹,同国人の仲間もいる.さながらAI応援団だ.
 担任はそわそわしている.金曜日にクラスのみんなの前でリハーサルした時,彼は途中でど忘れして言葉が出なくなってしまったそうだ.先生は「まあヤツらしいけどな」と言いながらも気が気でないらしい.クラスメートは「彼はけっこう人気者だよ」と言いながら,彼の姉妹たちとじゃれ合っている.AI君は本当に良い人たちに囲まれている(もちろん彼の人間性がみんなを引きつけているのだが).こうした人間世界を持っているから,日本語や母語が不十分でも,彼の中にあの思考力や豊かな感情が育ったのだろう.
 そして,今日気づいたことがある.担任,クラスメートともに,彼や彼の姉妹たちを外国人(特別)という目で見てはいないようだった.一人の(大切な)生徒,一人の(大切な)友だちとして自然に接している.そう,子どもが好きで,子どものことを真剣に考えて向き合ってくれる人は,外国人とか日本人とかいう目で子どもを見ない.『その子』にとってどうしたら一番良いかを考える.担任の先生の自然な雰囲気は,とかく子どもの『外国人』の部分に目が行きがちな私に大事なことを気づかせてくれた.


 ところでAI君のスピーチだが,かっこいい部分はちょっと短かった.そこから彼は.持ち前のサービス精神で,自分のプライベートを語り始めた.完全にアドリブである.好きなテレビ番組は〜〜です.彼女が出来たんだけど振られました・・・あ〜あこれでは優勝は無理だなあ.ま,こんなだからこそ,彼はみんなに愛されているんだけど(