2012年5月30日水曜日

まあまあです

 学年の変わり目の3月ごろから,U-18中学生(以上)の携帯電話保有率が上がってきた。5月も末の現在、ほぼ全員が持っている。わが子には高校入学の時に買ったのだが・・・今は中学生で持つのが普通なのかなあ?
 携帯電話を持った当初は、誰でも(?)うれしくて興奮するものらしい。3〜4月は、用もないのに、連発でメールを送りつけて来る子が続出した。最近は一時のブームは収まったらしく、そっけない出欠連絡メールばかり来る。それでも中にはこんなうれしい知らせもあった。
「先生、僕は英語のテストが?点でした」(70点以上でした)
赤いびっくりマークでわかるように、これは喜び&驚きメール。本人にとって英語では来日以来の最高点!!絶好調のせいかメールの日本語も良い(?)出来だ。
「すごいね。最近いい調子だね!」
と返信したら、答えは
「まあまあです」(私はずっこけました)
なんとまあ、いっちょまえのご返事だこと!!謙遜は日本文化の美徳(?)だが、この子の母国ではどうなんだろう?あんまり日本人化してしまうのは、どうかねえ〜〜
 
 『まあまあ(です)』というのは、子どもたちが大好きな言葉だ。「学校どう?うまくいってる?困ったことない?」などと聞くと、ほとんどの子は「まあまあ」と答える。確かに便利な言葉である。好きでもないし、かといって嫌いでもない、絶好調でもないけど不調でもない・・・ただしいくら便利でも、こういうのはいただけない。
「日本語は難しいですか?」「まあまあです」
「中学の勉強は大変でしたか?」「まあまあです」
「あなたの健康状態はどうですか?」「まあまあです」
いいかげんにせ〜い!入試の面接練習(2月〜3月によくやりました)くらいまじめにやってよねえ(


トイレの表示は4言語ー愛知県豊田市ー(本文とは無関係です)



2012年5月17日木曜日

また会おうねILさん!!

  5月15日、定例活動の時、帰国直前のILさんが、みんなに会いに来てくれました。涙、涙、涙、ハグ、ハグ、ハグ、そしてたくさん写真を撮りました。挨拶回りでいそがしかったのに、来てくれてありがとうね。出会いがあれば別れもある。誰もがその現実をかみしめた時間になりました。


 10年前、私()も帰国する側になったことがあります。仲良くなった子どもたちや仲間との別れはつらかったけど、その一方で、緊張する異国暮らしから解放される安堵感を感じていました。でもあの時、わが子たちはどんな気持ちだったんだろう。子どもにとっては今、その土地、その学校がすべてなのに、結局は親の都合(=帰国)でその世界を取り上げ振り回しています。安堵感だなんて、ホントに勝手、子どもの気持ちも知らないでと思っていたに違いない・・・ILさんを見ていて、あらためてそんな思いが頭の中をよぎりました。


 実は帰国の半年前、私はわが子からある決断を迫られました。
「幼稚園も小学校も中学校も入った学校と出(卒業し)た学校がちがう(これは完全に親のせいです)。高校くらい一つの学校で通したい」
 よほど強い気持ちがあったのでしょう。その子はビザ、滞在先(保護者)探しなど、いろいろな問題を自力で解決して、自ら残留(=留学)という道を切り開きました(もちろん残留可能な年齢だったからできたことですが)。親の甘さ、勝手さを自分で乗り越えて、親に『子離れ』を突きつけてきたわけです。子どもの方が一枚上手でしたね。


 ILさんの母国では、(外国から帰国して)該当学年に戻るには、テストにパスしなくてはならないそうです。母語で勉強してテストに備える。彼女が当初の予定を少しはやめて一人で飛行機に乗って帰国したのは、そんな気持ちがあったからでした。自分で考えて自分で決断する。人間にとって一番大切なことがきちんとできるILさん。きっと母国でも地に足をつけてやっていくことでしょう。


 今年の春、私は子どもと一緒にかつて暮らした国を訪れました*。友人たち、とりわけ子どもたちの大親友は、一家総出で歓待してくれました。そのお父さんは
「いつでも来ていいよ。ここは自分の家と同じだからね」
いつかILさんが日本を再訪することになったら、そう言って迎えてあげたいな(


U18いつもの一コマ
*そのときのことを個人ブログに連載しています。右側にリンクを張りました。のぞいてみてくださいね。

2012年5月10日木曜日

有終の美

 中2のILさんが帰国することになりました。彼女はU18の中心的存在です。一生懸命勉強し、仲間や大学生ボランティアと仲良くなり、同国出身者を助け、U18ライフを満喫しました。楽しい時間を一緒に過ごすことができました。本当にありがとう。
 ILさんが書いた作文があります。中学の課題ですが、最優秀作品としてクラス全員の前で読み上げられたそうです。以前彼女に、日本の小学校への登校初日のことを尋ねたら
「何にも覚えていないよ!!ただただ早く家に帰りたかった」
そんなスタートから早2年半。日本滞在の集大成、有終の美!!本当に成長したね!!
 この作文をサポートしたのは大学生ボランティアのFAさん。U18生活3年目のベテラン(?)で、子どもたちからとても信頼されています。方針、構想、必要な言葉など、ILさんが自分で書けるように、たくみにリードしてくれました(実際に本文はILさんが家で一人で書きました)。一番のポイントは考え方にありました。ILさんははじめ、大人という言葉を身体的なものとしてとらえていました。そこで「心の方はどうかな?『あなたなんかまだあかちゃんなんだから』なんて言われたらうれしい?」と水を向けたら、そこから一気に考えが発展しました。上手にサポートすれば、子どもたちはすばらしい力を発揮します!!!若いFAさんにとっても、この経験はすばらしい財産となったことでしょう。ILさんの帰国で、いちばんさびしいのはFAさんなのではないかな・・・(涙)


ではお読みください(ブログ掲載はILさん本人の了解を得ています)


テーマ『中学生はもう大人だ』、あなたはこの意見に賛成ですか反対ですか。
条件:160〜200字、2段落、
・1段落は賛成、反対の表明。2段落は理由とその元になった事実や経験を書く
・理由は「なぜなら〜だからだ」または『理由は二つある。一つ目は〜〜、二つ目は〜〜だからだ』のように書く。


 私はこの意見に反対だ。
理由は二つある。一つ目は大人と同じように仕事をしてかせぐことができないからだ。中学生は義務教育を受けているので、一人で仕事をして一人で暮らすことは難しいと思う。二つ目は、中学生は何をする時も、親の許しが必要だからだ。例えば携帯電話を買う時には親のサインが必要である。私は、これらの理由で「中学生はもうおとなだ」という意見に反対だ。
(漢字、句読点、改行など、すべて原文のまま)


帰国したら、母語での勉強が待っています。しばらくは大変でしょう。でも日本には仲間がいるからね。Facebookに時々日本語で何か書いてくれるとうれしいな(