2013年12月25日水曜日

クリスマスケーキ

 1ヶ月以上ご無沙汰してしまいました。U18には高校受験生が大勢います。中学3年生だけでなく、16、17才の中学既卒であらためて高校を目指す子もいます。そのひとりがKI君。前回の書き込み『進路相談の季節』では、彼の苦しい心の内を紹介しました。彼だけでなく多くの子があのようなことを考えているんだろうなあ、現実は厳しいなあと思いながら・・・

 さて、昨日(12/24)は2013年最後のU18定例活動。クリスマスイブですが、中学生、受験生が、活動後居残り勉強をしていました(このところ、これが慣例になっています)。そこへ、KI君から電話がはいりました。
「今、そこに何人いるの?」
「子どもが4人、大人が3人かな」
が答えましたが、何でそんなこと聞くんだろう、わけがわからんと怪訝な顔です。

 しばらくするとKI君がやって来ました。「はい、おれの給料で買ったんだよ」
差し出されたのはなんとこれ↓
 恥ずかしそうな、消えそうな声でした。アルバイトでちょっとは世間の荒波にもまれ、思うところがあったのかなあ・・・こんなうれしいクリスマスケーキ、そうそうある物ではないですね!!!みんなで味わって食べました。子どもって本当に成長します。うれしかったよKI君。ごちそうさまでした。受験がんばろうね

2013年11月19日火曜日

進路相談の季節

 11月も半ばになり、高校入試準備もいよいよ本格化しています。中3のAIちゃんが、中学でもらった県立高校入試日程一覧を持ってきて、説明を求めていました。非漢字圏の外国人の家庭では、この一覧表は何が書いてあるのか全くわからないだろうと思います。AIちゃんのように支援者に聞ける子どもたちはいいですが、支援者がいない子たちはどうなっているのかなあ・・・
 
 先日、ブラジル人の母親が子どもの大学入学資金の件で相談に来ていました。高校は私立大学付属高校。そこから系列大学への進学を希望し合格することができました。しかし経済状況が逼迫していて、入学金が払えないそうです。本人の実力が大学に入学できるレベルであっても、家庭の事情はそれを許しません。私立大学の入学金、授業料など、あらかじめわかっていたことではあります(少なくとも私たちには)。親にも、もう少し見通しや計画性を持って欲しいとも思います。それでも、高校入試の時に中学の先生からどんな説明を受けていたのか、一抹の疑問も残ります。とりあえず目の前の高校に入ることにとらわれ、家庭の経済や大学進学のことまで視野に入れた進学指導が外国籍の子どもたちには十分に行き届いていないのでは・・と思わされました。
 
 2年前に日本の中学を卒業したKI君。最近「高校に行く」とはっきり決めたらしいです。そうなると、中学の先生に書類等書いてもらわなければなりません。でも彼の場合、書類を書いてもらっても、入試当日スッポかすという可能性がゼロでは無い・・・彼の気持を今後数ヶ月間、しっかり持続させるにはどんなことができるかなあ・・・彼の今までにない真剣な表情を見ながら考えました。そして
「夜早く寝て、朝しっかり起きて、明るいうちに勉強!」と檄を飛ばしたところ、
「寝ようと横になると、いろいろなことを考えて寝られなくなる・・・」
「どんなことを考えるの?話すとスッキりすることもあるよ」
「いろいろあるよ・・・。でも言ってもしょうがない・・・オレ、お父さんとお母さんが生きているから、これまで生きてきたようなもんだよ。二人がいなかったら、とっくに死んでる・・時々死んだほうがいいなって思うことあるけど、両親が生きているからね。だから死ねない・・・」
 彼はついこの前まで、昼夜逆転していてノーテンキにふらふらしていました。でもそれは、わたしたちにそう見えていただけで、心のなかは嵐が吹き荒れていたのかもしれません。最近日本語も上手になって、ほんの少しバイトもして、ちょっとは社会の空気に触れたことで、自分を客観視し、そして自分を大切にできるようになったのでしょうか。それにしても、彼の言葉は重い、です。
  
 もうひとり、久しぶりに顔を見せたのがTC君、彼は定時制高校に通っています。最近志望を「手に職」から「理工系大学進学」に切り替えたそうです。これは本人というより親族の希望とのこと。子どもたちは自分の境遇をよく理解していて、力になってくれた人の期待を裏切りたくないと健気に思うようです。その気持を大切にしたいけれど、そして親族の気持ちもよくわかるけど、現実は厳しい・・・
 ことばのハンデがある分、日本語を母語とする子たちよりもっと勉強しないといけないんだ・・という気持ちをもたせるのにはどうしたらいいのでしょうねえ・・・ とにかく「寄り添う」ことしかできないかなあ・・・

集中!!

2013年11月18日月曜日

『がんばったで賞』を贈りました

 この時期恒例の外国人スピーチコンテスト(東広島市)11月17日に10回目が無事終了しました。10回!!なんだかんだあっても結構続いていますね。
 
 今年はインドネシア、アメリカ、中国、バングラディシュ、ドイツ、ブルネイ、韓国 の7ヶ国17名の参加がありました。祝!参加人数記録更新。さらに国籍は7ですが、民族ということで言えば10以上になるでしょう。東広島には、多様な人たちが暮らしているんだなあと、改めて実感しました。テーマも、日本語学習、自分の人生、自分の国の紹介、日本の古典、アルバイトなどバラエティー豊か。皆さんしっかり練習していて、スピーチがよどみなく流れ、完成度が高かったです。開始前、17名全部聞くのは結構大変かも?と一抹の不安が頭をよぎりましたが(ごめんなさい)、まったくの杞憂でした。
 
 このスピーチコンテストでは、毎年、広島大学の日本語教育学科教授を審査員長に、5人の審査員が厳正に審査し、最優秀賞、優秀賞、国際交流会長賞を選出します。今年はこれに加えて、新たな試みとして『がんばったで賞』を2名の方に贈りました。
 
 昨年、東広島市教育文化振興事業団に登録する国際交流ボランティア(詳しくはコミュニケーションコーナー)の有志は、多文化共生活動の一環としてインターナショナルバザーを開催し大盛況となりました(その様子は本ブログでも報告しています)。その収益金を、更なる草の根国際交流に役立てようというのが、この賞の由来です。
 ということで、国際交流ボランティア有志の会のメンバーは、全員のスピーチ終了後、審査員とは別に某所に集まり、厳正な(??)審議を行いました。とはいうものの『がんばった』とは、いったい何をがんばったのか?日本語、生活、人生、スピーチ・・・どの方も皆、本当にがんばっていました。あの人にもあげたい、この人にもあげたい、できればみんなにあげたい・・・

 表彰式では、皆さん「やりとげた」というさわやか感が溢れていました。本当にみなさんおめでとうございます!!
 
そして、今年もやります!!
多文化共生『インターナショナルバザー』
日時:12月8日(日)11:00スタート
場所:東広島市にあるくぐり門(JR西条駅近く、酒蔵通りにあります)
お近くの方、来てくださいね

 第10回東広島市外国人スピーチコンテスト表彰式
祝!!がんばったで賞
祝!!がんばったで賞

2013年11月11日月曜日

きついけど・・・安全第一

 急に寒くなった。こうなると(??)、カキの季節である。広島県沿岸でも10月半ばから水揚げがはじまり、今、カキ打ち場は大いそがしとなっている。

 そんなカキの産地で、この秋から日本語教室をやっている。なぜそんなところで?と思う方もいるかもしれない。いや、なるほどと思う方もいるだろう。今や、瀬戸内海沿岸のカキ産業は、外国人なしには成り立たない。しかし、その現実が知れ渡ったのは、悲しいことだが、あの江田島の事件である。
 
 日本語教室には、カキ産業で働く中国人がやって来る。常連は二人。どちらも照れ屋なので、話すのはなかなかうまくいかないが、聞くことはそれなりに上達しているようだ。とにかく、聞くことがある程度できれば、仕事は何とかなるという。それで十分なのに、きつい仕事の後、日本語の勉強に来るご両人には頭が下がる。

 そんな二人に刺激されたのか、前回の教室には3人の新顔が来た。会話はまだ無理なので、まずは現場でどんな日本語をよく耳にするかを聞いてみた。
「してみ、かしてみ、やってみ」
「うるさい」
「ばか」
「あぶない」
次から次へと出てくる。よほど毎日言われているのだろう。それにしても、こんな言葉が乱れ飛ぶ職場、やはり海の仕事の言葉は荒いなあと思う。特に「 〜〜み」(してみ=してごらん)というのは、かなりきつく感じられるようだ。初めは何だかよくわからなかったけど、今はそのニュアンスがわかるから、あまりいい気はしないという。それでも「慣れた!」と言って笑い飛ばしている。でも、内心はしんどいだろうな。言われ続けたら、腹も立つだろう。やめてくれとは言えない・・・

 実は日本語教室を始める前に、地元の漁業協同組合長と話し合いを持った。 日本語教室をともにやっていこうというくらいだから、外国人には人一倍愛情を持っている人だ。その彼が言うには
「俺たちは、バカ!!とか、なにやっとる!!とか、きつい言葉を使うよ。何も知らない人が聞いたら、顰蹙ものかもしれんね。でも 海の仕事は、ちょっとしたことが命取りになるからね。だめですよ、こうやってください、見ていてください、なんて言ってる間に海に落ちちゃうよ。とにかく安全第一!!そのために、こんな言葉になるんだよ。決してにくくて言ってるわけじゃないんだ。そこの所をしっかり伝えてくれよ」

 組合長の言葉には説得力がある。そこをわかってもらうのに必要なのは、やはり人間関係、信頼を構築することだろう。日本語教室で彼らに真摯に向き合うことで、少しでもお役に立てればなと思っている(
 
瀬戸内海のカキ筏(これは岡山県沿岸)

 

2013年11月5日火曜日

悔しくないの!!?

 日本語を母語としない子どもたち。特に高学年から日本に来て、短期間で中学へすすんだ場合、日本語で学習するのは、よほどのサポートがないと困難だ。学校で日本語指導がなされたとしても、家に帰って自習できる子はまずいない。そんな子どもに、手を貸したつもりになっているのだろうか。最近、あらかじめ宿題の答えを渡し「写してきなさい」という指導にしばしば出くわす。

 U18にも、そのような指導をされている子がいる。中1の男の子だ。最近、あまり顔を見せないから気にかかっていたが、先週、めずらしくコミュニケーションコーナーで漢字の書き取りをしていた。彼は一生懸命手を動かしながら
「先生、ここの答えって、どこに書いてあるの?」
ワークブックの欄外に書いてある正答の場所を聞いてくる。25ページの問題の答えは25から26ページの欄外にまたがっているので、回答欄と正解の問題ナンバーが、なかなか一致しないようだ。彼に聞いてみた。
 「誰が、答えはここって教えてくれたの?」
「宿題を出した先生だよ。ここからここまで、しっかり写してきなさいって言われた。その先生は、テストの時も僕にだけ答えをくれるよ。僕は一番後ろの席に座っているから、答えもらっても、みんなあまり気がつかないよ。それを見て書くから、 僕はいつもテスト100点だよ」

 ありえない!!いったいどういうつもりなんだろう。そりゃ、中学生の漢字の書き取りは大変だ。彼の場合、自力ではほとんどできないだろう。きっといつも0点では、嫌気がさしてくるだろうな。それなら「せめて写してくれれば」ということか??それにしても・・・しばらくすると
「よ〜し、宿題終わり!!早く終わって楽だねえ」
ニコニコして片付けを始めた 。そんな彼にだめもとで聞いてみた。
「この言葉はどういう意味?」
「意味なんて知らないよ。写してるだけだもん」
「そんなんじゃ、授業わからないでしょ?つまらなくない?」
「いいんだよ。宿題簡単に終わるから」
手を動かして、ノートを埋めればそれが宿題だと思っている。楽に早く終わるのは、ラッキーなのだ。でも、これではなんにも覚えない。それ以前に、学習習慣が身につかない。子どもにとって一番大事なのは、学習習慣、そして考える力をつけることではないのか?

それ以上に見てて歯がゆいのは、答えをもらってニコニコしている彼だ。こんなことされて、プライドが傷つかないの?自分だけ特別扱いされて、できないと決めつけられて、悔しくないの?でも、これは彼の責任ではないだろう。家族も教師も、そして私たちも、この子に対して、必要な、そして満足なサポートをしてこなかった。そんな中、彼の感覚は麻痺してしまったようだ。それでも、本当は彼から先生に向かって叫んで欲しい。「馬鹿にしないでくれ!!」と(

トリックorトリート!!

2013年10月25日金曜日

ちょっと(?)うれしかったな!!

 秋が深まってきましたね。このところ、すっかりご無沙汰してしまいました。その間、本当にいろいろなことがあり、ヤッチャル一同、ずいぶん振り回されましたが、子どもたちは相変わらず元気です。今日は、そんなU18ティーンエージャー組の様子をつらつらと書いてみますね。

 本ブログNo1の出演率を誇るVT君。ちょっと前にルービックキューブ(皆さん、ご存じですか? の世代にとっては懐かしいですけどね)にはまりました。これが好きなのは、理系頭の子が多いですね。VT君は超がつく理系人間。同じ定時制高校に通うSC君もそうですが、彼も相当の熟練者で、4×4なら1分もかからずに全6面クリアーします。どうやらそれを見て、VT君は刺激されたらしい。通販で苦労して(メールアドレスや支払いのことなど)7×7を買い求め、なんと1時間で全面クリアーしました。あ〜あ、やっと手にした“3000円”なのに・・・(勉強にもその集中力で取り組みなさい!!)
 そのVT君、バトミントンでついに優勝しました(広島県の定時制高校の大会)。やったね!!恥ずかしそうに携帯電話を目の前に突き出すので、何かと思ったら、優勝カップを抱えた彼の姿が写っていました。この大会は残念ながら全国大会にはつながりませんが、来年春には、地区大会→県大会、そして全国大会を目指すそうです。

 そして、最近劇的な変化を遂げたのがKC君です。彼は中2の終わり頃来日し、中3で不登校、高校入試もままならず、その後何もせずふらふら(?)していました。
 その彼が、とにかく働き始めました。定番(?)の携帯電話仕事で、一日中シールを貼っているそうです。背の高い彼にとって、作業台が低すぎて、首と肩ががちがちになってしまいました(ちなみに、定時制高校に通うSIさんも、同じところで働いています。昼間働き、夜学校、彼女もたくましいです!!)。
 ふらふら(?)していた時、は何度もKC君に電話して、とにかくU18に来なさいと、根気強く誘っていました。それでもなかなか顔を出さず、ヤッチャル一同はやきもき。「いいけげんにしろ〜〜!」という気分になった時もありました。その間、彼はマンガやアニメにはまっていたようです。ちょっとした『きっかけ』(この話は、いつか書こうと思います)で久しぶりにU18に来た時、彼の日本語が劇的に上達しているのに、本当に驚かされました。発音も綺麗で、助詞をしっかり使って、センテンスをきちんと完結しています。VT君でも、このレベルには達していません。
 さらに10/23の日本語クラス(大人対象)では、以前は全く興味を示さず、わからない、できないと逃げていた算数(数学?)に積極的に取り組みました。正負の数の四則計算、文字式の計算、忘れていた(?)通分、約分も、ちょっと教えたらすいすいこなしました。そして
「先生、算数(数学)っておもしろいじゃん。もっと難しいのやろうや!」 
そのときの顔は何とも言えません。 満足感、達成感、そして快感!!わかる、できることがうれしくてしょうがないという感じでした。同じようなレベルで四苦八苦する友達に対しては、積極的に教えて、多少の優越感にひたっていました(これも実は大切なことなんです)。彼に出会ってから約3年、にとっていままでで一番楽しい勉強になったので、なんだかうるうるしてしまいました。本当にこの3年間、が彼を見放さず、どやしつけながらも粘り強く誘ってきたからこそです。この姿勢、根気、子どもに向き合う時に本当に必要な物は何なのか、大いに考えさせられました。
 
 なぜ彼が数学がわかるようになったのでしょうか。もしかしたら、わけのわからない日本語の世界に放り込まれた時、もともとわかっていた算数まで、頭の中に霧がかかってしまったのかもしれません。日本語がわかるようになったら、頭の中が整理できたのか、算数までクリアーになってきたのでしょう。VT君は、もともと身についていた数学が非常にしっかりしたものだったので、むしろそれを頼りに日本語を学んだり、コミュニケーションをとってきました。KC君の場合、算数(数学)の理解度がそこまで達していなかったので、わからない言語(日本語)でやるのには無理があったようです。
 同じようなことは、あの「ご苦労様でした」のAI君にも言えます。彼も日本語力がそれなりのレベルに達してから、数学、そして英語(もともと英語を使う環境にいたのですが、日本に来てから使う機会がなく力ががた落ち)の理解度がよくなりました。

 U18のティーンエージャー組。本当にいろいろなことを引き起こしてくれますが、 いろいろなことを教えてもくれます。子どもを長い目で見守る。KC君は身をもって教えてくれました。これからの彼がどうなっていくか、また見守っていこうと思います(

子どもの世界を描くなら、やはりこの人!!(東京のスヌーピー展にて:この絵は写真撮影可)

2013年9月10日火曜日

N3合格!したけれど・・・

 7月に行われた日本語能力試験の結果が出ました。本ブログでおなじみ(?)のVT君、N3に合格です。中3のはじめに来日して2年半、2度目のチャレンジ、おめでとう!

 実はVT君、1回目は僅か数点で涙をのみました。今回は、合格最低点よりかなり上の点数で、余裕の合格です。しかしからは厳しい言葉が飛んできました。
「こんなんで満足してちゃだめ!この点数じゃN2はきびしいよ」
 彼は一応、大学を目指していますから、の言うことはもっともです。実は日頃からヤッチャル一同、進学希望の割に行動がぬる〜〜い彼にやきもきさせられています。確かに『こんなんで満足してはだめ』なのですが、こればっかりは本人次第ですからねぇ。

 さて、得点をもう少し細かく見てみると、聴解は満点、文法はA、しかし語彙、読解はイマイチ。彼くらいの年齢で、しかもきちんと学校へ行っている子は聴解は大丈夫です。これは昨年の研究でも証明(?)されています。読解は日頃きちんと解答できるので、ちょっと意外だったのですが・・・得意と思っていてツメが甘かったようです。本番では時間が限られてますから、マイペースで読んでいてはだめですね!!普段から、時間を区切って読む練習が必要です。

 1回目の時から、彼の弱点は語彙(漢字)です。漢字圏出身では無いので、やむをえない面もあるのですが・・・今の彼は、耳から聞く日本語がある程度理解でき、必要最低限のボキャブラリーが形成され、それを駆使してある程度のコミュニケーションができる段階にはきていますが、そのレベルでとどまって(満足してしまって?)いる感じです。もちろん、学校の勉強はしているので、まったくの会話日本語ではありませんが、とにかく『読み』の量が絶対的に足りません。『名探偵コナン』の一気読み(実は1〜57巻はの私物)はできても、自分から進んで文章を読むことはないし、何より辞書の利用率が非常に低いです。彼くらいの年齢で、彼くらいの日本語力の子にあった読み物教材も、なかなかいいのがありません。
 語彙力不足は、♪が昨年から行っている語彙力チェック(これも昨年の研究参照)にも、明白に現れています。これはVT君だけでなく、U18のティーンエージャー組全般に言えることです。日本語を第2言語とする子たちの抽象語彙力はなかなか伸びません。もちろんVT君のように、10代なかばを過ぎてから日本に来た子は、その面を母語である程度補完できます。しかしそれで満足していては、日本で受験、さらにはクリエイティブな仕事をするのは困難です。

 N3合格によって、彼の課題が明白に浮かび上がってきました。VT君、現実を見よ!
 

2013年8月24日土曜日

お疲れ様でした、ご苦労様でした

 U18のAI君は本当にいいヤツだ。中学では運動部で活躍し、日本人の中学生と変わらない生活を満喫している。そして今、中3の夏、部活を引退して時間ができたので、このところしょっちゅうサンスクエア(U18の拠点)にやって来る。夏休みの宿題を持ってきて、英語、歌舞伎についての調べ物、税の作文と、1日に1つの驚異的(?)ペースで仕上げていく。
 AI君の勉強ぶりを見ていて強く思うのは、わからない時「ねえ、これ何?どういう意味?」とすぐに聞くことができる環境、相手の存在の重要さだ。コミュニケーションコーナー(東広島市の外国人へのサービスを提供し、日本人との交流を深める場所)で勉強していると、そこにいるだれもがAI君の質問に答えてくれる。しかも、英語、日本語の専門家がいたり、居合わせた留学生が国際政治や建築の専門家だったりする。こんな環境、そうそう簡単に手に入る物ではない。外国人の親が子どもの宿題を手助けするのは大変だ。そんな中で、かなりの子どもが『答えを写す=宿題をやる』の状態になってしまっている。それでもやらないよりずっとましだが・・・結局は、教師も親も「日本語がわからないんだからやらなくていいよ」と言っておしまいだ。でも、AI君のようにやる気のある子は、『答え』を求めてコミュニケーションコーナーにやって来る。

 そんなAI君だから、日本語に対するアンテナは相当高い。以前にも大ヒットがあったが、今回、それを上回るホームラン!?が出た。
「ねえ『ご苦労様でした』と『お疲れ様でした』はどういう時に言うの?みんなすごく良く使うけど、どういう時が『ご苦労』でどういう時が『お疲れ』なんだか、おれにはわかんねえよ」
 なるほどねえ。日本語を身体全体で覚えてきた彼ならでは質問だ。コミュニケーションコーナーにいた人からは、いろいろな答えが飛び出した。
「目上→目下はご苦労様かな。AI君が先生にご苦労様でしたって言うのはまずいね」
「それに比べて、『お疲れ様でした』は、比較的誰にでも言うよねえ」
「何かが無事終わった時とか、終わりのあいさつの決まり文句になってるよね」
日本人にとっても、本当に貴重な勉強の機会である。 
「でも、ご苦労様ですお疲れ様ですなら、何かを始める前にも言うことがあるね?」
「そう。遠くから仕事に来た人に、まず一言『遠いところご苦労様です』とかね」
話は尽きない。そんなやりとりの中で、AI君も、何となくニュアンスを掴んだようだ。
 
 そして、納得顔で帰りかけたAI君は、もうひとつ付け加えた。外国人の相談に応じる相談員さんに向かって
「中国の(かた)ですか?」
いやあ本当にやるねえ。日頃は広島弁丸出しで、相手かまわずしゃべりまくっているのに。時、場所、相手によって適切な言葉があるということを、彼はちゃんとわかっていた。それは誰かが教室で教えた物ではない。彼自身が自分で気づいたことなのだ。まさに実践的日本語、私たちみんなが見習いたいものだ(

U18の拠点:サンスクエア東広島、コミュニケーションコーナーもここです!!

2013年8月10日土曜日

宮島水族館

 恒例(?)になりつつある夏休みのバスツアー、今年も行ってきました。ケニア、フィリピン、ベトナム、中国、インド、ブラジル、インドネシアそして日本の8ヶ国、総勢44名の大ツアー(バスの定員は45名でした。ふ〜〜)。行き先は宮島水族館。

 東広島→(バス)→ 宮島口→(フェリー)→宮島。ここまではよかったけど、目的地の宮島水族館はフェリー桟橋からちょっと歩きます。炎天下、みんなヒーハーぶつぶつ!!でしたが、水族館へ入れば冷房が効いていて別世界です。カキいかだ、悠然と泳ぐエイや亀、でっかいトド、アシカなど、こじんまりした水族館ですが、なかなか見応えがありました。夏休み真っ最中とあって、ペンギンふれあいタイムではかなり待ったようですが、みんなペンギンと握手(?)できて感激。さらに特筆すべきはアシカショー。なんと本ブログでおなじみのVT君がアシカとキスをしました。おとなの希望者代表に当選(?)ということでラッキー!

 今回は中学生以上の参加者が多く、 しかも水族館という閉鎖空間でしたから、完全自由行動にしました。それでも誰一人ひるむこともなく、「はい行ってらっしゃい!」と言われてみんな大喜び。子どもたちはホントにたくましいです。
 参加者の中に、来日して1ヶ月足らずのKさん(フィリピン)、Wくん(ケニア)がいました。自由行動大丈夫かなと心配もあったのですが、こちらの老婆心(?)など知ったことかと、愛すべきU18常連組ががっちり仲間に入れてくれました。もとから仲良しの自分たちだけで固まらず、ニューフェースをなんの違和感もなく受け入れてくれる子どもたち。あまりに自然すぎて、ニューフェースの方があっけにとられている感じすらしました。少しだけ覚えた日本語、手振り身振り、お互いが知っている限りの英語、つかえるもの総動員してのコミュニケーションはホントに微笑ましかったです。でもなんといっても、言葉より心なんですね。お互いが仲間になれるのは。あの自然さ、大人はまったくかないません。
  いつも静かで黙々とひらがなの勉強をしているW君が、はにかみながら、おぼえたての日本語で「たのしい」と言ってくれたとき、なんだかジーンとしてしまいました

にほんごひろばU18ご一行様〜〜

宮島到着

宮島のもう一つの見所、五重塔

暑いよ〜〜水族館まだかなあ

水族館到着

おさかなさんがたくさん!!

最後は全員かき氷!!!

2013年7月25日木曜日

大人の日本語教室繁盛中!!

 前回の書き込みで、U18に来る16才以上の子どもたちを、東広島市がおこなっている日本語教室にも誘っているという話を書いた。東広島市にはいろいろなスタイルの日本語教室がある。教室型(日本語教師が教える)、おしゃべり型(ボランティアとの交流のなかで日本語を学ぶ)、One to One (個人レッスンスタイル)などだ。これだけバラエティーのある学びの場を、行政が主体となって用意している自治体は、全国的にも珍しいと言われている。

 昨日はその一つ、毎週水曜日夜開催のおしゃべり型教室へ行ってきた。学習者、ボランティアともに10人ほどの参加者で,狭い教室がちょうど満杯という感じ。男女比は6:4くらいで、男性優位である。人数のバランスが良かったのでほぼ1対1となり、どのペアも話が弾んでいた。U18の16才以上組、W君も黙々と勉強していた。
 昨日参加して、あらためて感じたのは、ホントに世界中いろいろなところから東広島に人が来ているんだなあということ。アメリカ、ナイジェリア、ケニア、スリランカ、イラン、中国、内モンゴル(国籍としては中国)。留学生、家族滞在、技能実習生など来日理由も様々だ。
 多様性という面では、日本語のレベルも同様だ。日本に来て1ヶ月経たないビギナーから、N1受験者までいる。当然、とりあげる話題もさまざまになる。昆虫(蚊、ゴキブリ、カブトムシなど)という、日頃あまり取り上げないテーマで話したグループは、ボランティアからホウ酸団子の作り方を教わっていた。カラオケでいつも英語の歌を所望されてちょっとうんざりしているという人もいた。ビギナーのいくつかのペアは、日付の言い方(23日:23にち、3日:みっかとか、これってホントやっかいだよねえ)に四苦八苦である。
 さらにこの水曜日クラス、最近の特徴は、ボランティアに若手(?)男性が増えていることだ。 日中(午前中)のクラスは、学習者、ボランティアともに女性、主婦層中心になりがちだ。男性が来るとどうしても「めずらしいね」という雰囲気になるし、圧倒的多数の女性のなかでは、居心地もイマイチである(もちろんとても大切にされるんですけどね)。
 日本語教室は人が集まってナンボだから、みんなが集まりやすい時間というのは、教室運営という面では大切な要素だと思う。それでも、単に『集まりやすい時間』というだけでは、これだけの人は集まらないだろう。夜の教室へ行くには、1日の仕事や研究を終えてホッと一息というところで、もう一回疲れた身体と頭にムチを入れなくてはならない。普通なら「あ〜めんどくせぇ〜」である。それでも水曜教室にはみんなが集まってくる。あの多様性、それを認めて受け入れて楽しむことのできる人たち、加えて若手パワーとシニア世代の経験値が適度に混ざり合っている。魅力ある参加者がいるから教室の雰囲気がよくなり、雰囲気が良いから人が集まる。実際、昨日も同じアパートに住む人を引っ張ってきた人がいたり、わざわざお菓子をもって帰国の挨拶に来てくれた人もいた。
 地域日本語教室とは、参加者が創っていくものなんですね(
 
 
 

2013年7月23日火曜日

夏休み!!でも夏休みの『無い』子どもたちもいます

 このところ更新が滞っていました(汗)が、その間に子どもたちは待望の夏休みに入りました。何人かの子どもたちに、学校から渡された宿題リストやスケジュールを見せてもらいましたが、やはり結構な量の宿題が出ていますね。ということは、今年もU18は暑い夏になりそうです。なんと言っても夏休みの活動はU18の原点(2010年の夏休みから活動がスタート)ですから、ヤッチャル一同気合いのはいるところではあります。ただし・・・今年はちょっとスケジュールを変更しました。7月中はいつも通り火曜日の夕方(7/23と7/30)、8月が夏休みバージョンで月、水、金の午前中(9:30〜11:30)です。7月中は大学生が試験期間で参加が見込めない、子どもたちも補習やプールなど登校する機会が多い。というわけでこのようなスケジュールになりました(詳しくはホームページの年間スケジュールを見てくださいね)。
 
 ところで最近のU18は、学校の夏休みに関係のない子が増えています。16才以上で来日し、どこへも通っていない子どもたちです(母国ネットワークで得たアルバイトをしている子もいます)。現在、常連が4〜5人、来日理由は様々ですが、全員日本語はイチからのスタートです。日本語を覚えたら専門学校に通いたい、日本語を覚えたら働きたいなど、それぞれ希望は持っています。でも、日本語を覚えるのにどれほどの時間がかかるのか、言い換えると『どれほど努力しなくてはならないか』をわかっている子はいません。さらに本国での高卒資格を持つ子もいませんから、いくら専門学校進学を希望しても、受験資格そのものが無い場合もあります。壁はあまりにも厚い。

 そんな子どもたちに対して、私たちは何ができるのでしょうか。最近 があるところで、こんなことを書いていました(未発表です)。
「外国につながる子どもに必要不可欠の支援の中には、学校や家庭では難しいものがある。だから地域での支援が大切なのだ」
「 16才以上で来日し、高校へも行けず、日本社会とつながりを持てない子もU18にやってくる。こういう子の多くは日本に永住を希望するが、その日本語力や経歴から見て満足な仕事に就ける可能性は極めて低い。そうなれば本人だけでなく、
日本社会も大きな負担を背負い込むことになる
このような子どもたちの居場所をつくり、日本語学習の機会を提供する。いろいろな相談に乗り、将来設計をともに考える。これらもU18の大切な活動になってきている」

 そうなんですね。スタート時点では、活動の柱は日本語と教科学習のサポートでした。今、あの時にいなかった(と言うか拾えてなかった)子どもたちが増えています。ヤッチャルとしてはできること『U18だけでなく、東広島市でおこなわれれている日本語教室にも参加を促し、日本語の基礎を学ぶ場を提供するとともに、社会とのつながり、そして仲間のいる居場所をともに創っていく』からやっていこうと思います(

広島の風景:厳島神社の鳥居(2013/07/09)

広島の風景:厳島神社の結婚式で奉納された舞(2013/07/09)

2013年6月29日土曜日

忘れた頃にやって来るあいつ

 このところ、久しぶりの子どもたちが立て続けにやってきた。AI君、ISさん、CK君などだ。AI君は1年振りくらいだろうか・・・
 3人のうち、AI君とCK君は中学生。2人の言いぐさはこうだ。
「普段は部活があるから来られないよ。今週は定期テスト前で部活がないからね。早帰りさ。勉強わかんないから教えてよ」 
 
 AI君は運動部で活躍している。中学に入学した頃はがりがりの体型だったので、ヤッチャル一同、ハードな部活でやっていけるかと心配したのだが・・・いまや部ではエース、加えて持ち前の茶目っ気を発揮して、クラスではいたずらの先頭に立っている。もともとモーレツな早口でおしゃべりな子だが、部活で鍛えられて、その日本語にはますます磨きがかかった。今日も広島弁丸出しで息つく暇もなくしゃべりまくってくれた。日本の学校にどっぷりつかり、勢力的に活動した証しである。彼に初めて会う大学生ボランティアたちは、そのマシンガントークに圧倒された。そんな彼でも
「部活引退したらここ(U18)しか来るところないから、 夏休みになったらまた来るよ。勉強教えてください。高校行きたいし」
『ここしか来るところない』というのは、泣かせるセリフだ。ヤッチャルがU18で目指しているのは学習支援だけでなく、子どもたちの居場所、心のよりどころ作りだ。だからこう言われると素直にうれしいけれど、一方でちょっと複雑な心境にもなる。「U18に来なくても自分は大丈夫、一人でやっていけるよ」でもいいんだけどね・・・というか究極の目標はここだろうとは思う。
 でも一緒に歴史を勉強してみたら、やはり、まだまだ自力で大丈夫とはいかないようだ。あの弾丸広島弁でも、日本語(第2言語)での学校の勉強には苦戦している。それほど、第2言語での学習というのは、一筋縄ではいかないものなのだ。

 U18には常連さんもたくさんいるが、AI君、CK君のような、ふらっと立ち寄り派も結構いる。忘れた頃にやってくるのが、災害でないのは喜ばしい。みんな、いつでもおいで、待ってるよ(


2013年6月20日木曜日

東広島に放送局がある!?!ーFM 東広島ー

 昨日(2013/06/19)、地元のラジオ、FM東広島に出演しました。あるんですよね!東広島にラジオ局が。毎日7:00〜22:00、完全生放送。開局は2011年10月ですから、まだ2年に満たないフレッシュな放送局です。実はヤッチャルには、すでに出演経験者が3人も(?)いますと留学生のIさん。この出演率からもわかるように(笑)、完全地域密着型、地元情報満載のコミュニティFM放送局です。ただし3人ともヤッチャル&U18からの出演ではありませんでした。
 今回は午後の時間帯の番組「Eastじゃけん」の中にある『ふるさと応援隊』というコーナーに出演しました(じゃけんは、おそらく広島弁の中で認知度No1の言葉でしょう)。ふるさとでがんばっている人やグループを紹介して応援するという趣旨のコーナーです。中国からの留学生Yさんの二人で行ってきました。ヤッチャル&U18としては、FM東広島初登場です!!

 まずはヤッチャル&U18設立の経緯、U18の活動内容を紹介してから、Yさんに話が振られます。
「子どもたちの反応はどうですか?やっていて大変なことはありますか?」
「日本語がある程度話せる子とはコミュニケーションがとれますが、来たばかりで話せない子とふれあうのはとても難しいです。でもそういう子から先生!ってよばれると、通じ合ったみたいでうれしいですね」

 Yさんの日本語力は折り紙付きですが、それでも自分の母語ではない日本語で子どもたちとコミュニケーションするのは大変です。実は最近のU18には、中国から来た子が少ないのですが、そういう子には母語で対応できるYさんがいると安心なのです。

 次はインタビューの核心「日本語の勉強で大切なことはなんですか?」
これは私が一番伝えたかったことです。東広島には大人も子どもも、日本語を学んでいる人がたくさんいます。その中で、子ども、特に日本の学校に通っている子どもには、特別な注意が必要です。へたをすれば、自分の言葉、日本語、両方が中途半端になる危険性(いわゆるダブルリミテッドですね)があるのですが、これについては、まだまだ一般には知られていません。多くの人が「子どもは覚えるのが早いねえ、半年でペラペラになるんだねえ」と、子どもの言語習得のスピードに感心しています。でも、子どもにとって大切なのは、実はそこから先なんだということを力説してしまいました。
 パーソナリティーの方は「結構重いお話なんですね」と驚いた様子でした。そこで
「実際のU18は、いつも明るくにぎやかで、子どもたちは元気いっぱい、そして案外のんびりとした活動です」
「そうだろうと思います。Yさんの明るい雰囲気を見るとよくわかります」
安心した様子で笑っておられました。

 再びYさんへの質問「これからも活動を続けていきたいですか?」」
「はいやりたいです。自分の勉強にもなります。私は子どもが大好きなんです!!」

 そうですね。本当にYさんの言うとおりです。地域日本語教室では、どうしても日本人ボランティア=先生、外国から来た方=生徒という構図になりがちです。でもヤッチャルでは、みんながボランティアとして、活動の中で人の役に立ち(貢献)ながら、自分が学んでいます。
 そして最後に、Yさんの口から、私が一番好きな言葉が飛び出しました。
『子どもが大好き』
Yさん本当にありがとうね。これはうれしかったな!!

 FM東広島には、ホームページやブログがあります。『FM東広島』と検索すればすぐ出てきます。その中に出演者の写真が掲載されているコーナーがあり、近日中に私たちもアップされるはずです。お時間(興味??)のある方は探してみてくださいね。

 最後にFM東広島のみなさん、ありがとうございました

2013年6月7日金曜日

子どもは親を選べない

 早いもので、6月になって1週間が経つ。新学年が始まって丸2ヶ月、U18の参加者には新顔が増えた。人数が増えれば活動には活気が出る。子どもたちは仲間が増えて喜んでいる。しかし、ヤッチャルとしては喜んでばかりもいられない。むしろ最近は新人が来る度に、溜息をつくことが多い。なぜならU18に飛び込んでくるのは、何か問題を抱えている子がほとんどだからだ。たとえば
  1.  中学卒業後、どこにも行き場のない子
  2.  苦労して(定時制)高校に入ったのにやめてしまった子
  3.  就学年齢なのに学校に通っていない子(不就学)
  4.  親が夜勤で、夜、家にいるのは子どもだけ
  5.  離婚、再婚で両親の間をたらい回しになり、日本と母国の往復を繰り返す子
  6.  社会的に良くない行動をした子
  7.  日本と母国を複数回往復→年齢相応の教科学習ができる言語を持たない子
  8.  低学年で日本の学校に通い、母語がおぼつかなくなっている子
  9.  高学年で来日し、日本語、母語、教科学習が中途半端になり学習意欲減退の子
 思いつくままに列挙してみたが・・・こう見ていくと、全国で問題になっていることが、東広島でも起こっている。最近群馬県でおきた悲劇(親が日本に子どもをおいて母国に一時帰国した間の出来事)は、本当に心が痛いできごとだが、東広島でもあのようなことが起こらない保証はどこにもない。
 
 U18の子どもたち(と言うより、日本にいる外国につながる子どもたち)は、ほとんどが親に連れられて日本に来ている。子どもは親を選べない。自分の意志でなく連れてこられたのに、こんな状況になってしまうのは、子どもにとって本当に理不尽なことだろう。ただしこれまでU18の子どもたちから、親に対する恨み辛みを聞いたことはほとんどない。むしろ「日本に来たらお母さんと一緒に暮らせるからうれしい」と言う子もいた。おそらく心からそう言ってるのだろうが、なんとも複雑な気持ちにさせられてしまった。
 もちろん親には親の事情がある。経済的事情、社会的事情(内戦の続く国から来た子もいる)もある。さらに親の危機感の薄さが、常識や習慣の違いから来る場合もある。
 そうした事情や違いを認めたとしても・・・それにしても親たちは、子どもを異文化、異言語の世界に放り込んだらどうなるか、来日前に想像したことがあるのだろうか。いやむしろ、どういう現実が待っているか知らない(想像できない)から、国(文化や言語)を超えて子どもを移動させることができたのかもしれない。それは受け入れ側の日本社会全体にも言えることだ。大人(≒労働力)を入れたら、そこに子どもがついてくる(生まれる)と想像しなかったのだろうか。知らないというのは、ある意味強いことだけれど、取り返しのつかない過ち(罪)にもなると改めて思う。

 このところ、不就学、深刻なダブルリミテッド、短期間での日本、母国往復など、子どもの責任じゃないのに!と思えることに、立て続けに出会っている。そんなこんなでつい話が暗く、愚痴っぽくなってしまったが、とにかく、これだけは声を大にして言いたい。
「子どもは親を選べない!」
「子どもはすぐ慣れる。子どもはすぐ言葉を覚えるなんてありえない」(

アメリカの本屋にて:日本語の学習書

2013年5月17日金曜日

ヤッチャルの辞書に『見学』という言葉はない!!

 今週の定例活動には来訪者がありました。

 2013年5月14日(火):定例活動の日。子どもたちは新顔も加わり全部で17名の大盛況。大学生ボランティアもフレッシュな顔ぶれが増えましたが、それでもこの人数になると手が回らなくて、いつもはてんやわんやになってしまいます。しかし、この日は頼もしい助っ人(?)がいました。

 いつもU18の活動に積極的に参加して、今やヤッチャルに欠かせない重要人物になっている留学生のIさん。ちょっと苦労はありましたが、4月から晴れて大学院生となりました。その彼女の所属するゼミの院生と、そしてなんと(??)担当教官のN氏が、「地域の日本語教育の実情を知りたい、それには地元東広島の現状把握からスタートしよう」と、U18の『見学』に来てくれました。ただし!!、ヤッチャル(U18)の辞書には『見学』という言葉はありません。ましてや今日の『見学』者たちは日本語教育の専門家(の卵)ですから、これ以上の助っ人はありません!!有無を言わせず(笑)手伝ってもらいました。

 いつも感じることですが、子どもたちはボランティアと1対1になると、とてもうれしそうです。憎まれ口ばかりきくような中学生でも、この傾向は顕著です。日頃、何がなんだかわからない状況で学校生活を送っているからでしょう。自分だけに集中してもらえるということが、子どもの心に安心感をもたらすようです。その意味でも、ボランティアが多いととても助かるのです。
 さらに活動後、『見学』の学生さんたちとN先生、で東広島の現状について話し合いをしました。ヤッチャル(U18)の活動を始めて3年になりますが、大学の先生が直々に定例活動見学というのは、今までほとんどなかったような気がします。N先生、本当にありがとうございました。
 
 子どもたちの現状を見ていると、学校(市教委)、ヤッチャルのような民間ボランティア、そして地域の大学(日本語、初等教育、教科教育など教育全般にわたってのアドバイス、リーダーシップ、学生の参加など)の連携は、日頃から急務と痛感しています。しかし、なかなか進まないのが現状です。 そこへふってわいたような、ではなくてIさんの積極的な姿勢から産まれたゼミ生とN先生の参加(見学)。本当に願ってもないことでした。ヤッチャル(U18)は常にオープンです。皆さん、どしどし『見学』に来てくださいね。ヤッチャル一同、手ぐすね引いて待っておりますです(

2013年5月12日日曜日

改めて感じた国境の重み

 早いもので、新年度が始まって1ヶ月以上過ぎ、ゴールデンウイークも終わってしまいました。実はが3週間ほど日本を留守にしていたので、ブログの更新が滞っていました。無事帰国したので再開です。
  
 U18は、新年度も相変わらずにぎやかに活動している。4月からフィリピン、中国、インドネシアなどの子どもたち、ボランティアにも広島大学の新入生など、新たなメンバーが加わった。本当に子どもたちは次々とやって来る。どこでどのようにU18のことを聞きつけるのだろう(まあ、それなりに宣伝もしているが、圧倒的に多いのは口コミである)。そんな新しい子どもたちに出会って、あらためて感じることがあった。それは、みんな親に連れられて国境を越えて日本へやって来たんだなあ、そのことでこれから多くのことを背負わなくてはならないんだなあ・・・ということ。
 
 なんでそんなことを考えたのかと言うと、最高のロールモデルW君 とアメリカで再会したからだ(とても元気だったので安心した)。幼児の頃、親に連れられてメキシコからアメリカへ来た彼。子どもの頃は、正規の形でアメリカにいたのではなかった。だから、学校のオーケストラ(彼はビオラ)が海外公演を企画した時、自分は行かれない(一度アメリカを出国すると再入国するのが難しいから)としょげていた。妹たち(アメリカ生まれでアメリカ国籍保持)が楽しそうにメキシコの親戚訪問の話をしている時、自分はエルパソ(テキサス州にあるメキシコとの国境の町)で待ってるしかないとあきらめ顔だった。幸い今はきちんとした形でアメリカで生活している。だから私も堂々と、勤務先のスーパーの日本進出にのって日本に来い!!と誘っている。
 
 言語、文化、勉強、友達、将来設計、いろいろなことが国境を越える子どもたちにのしかかってくる。その重荷は自らが欲したものではない。親に背負わされたものだ。母国にいたら出会わずにすんだものだ。なかでもW君のように、幼い頃から不法滞在を背負い込まされてしまったら・・・W君は一度も口に出したことはないが、きっと心の中では『なぜ自分がこうならなくてはならないんだ』と苦悩していたに違いない。妹たちは自由にメキシコに行けるのに、そして自分にはなんの責任もないのにと。

 実は今回の旅で、アメリカとメキシコの国境を見てきた。W君がいつも口にしていたエルパソ(テキサス州)ではないが、カリフォルニア州サンディエゴ郊外のSanYshidoroというところだ(メキシコ側の町はTijuana:ティファナ)。サンディエゴからトロリー(電車)に乗って45分ほどで行くことができる。
 この銀色の回転ドア(写真↓)を一押しすれば、そこはメキシコだ。監視の人は誰もいない(一応この先にメキシコの入管がある)。国境を越えるのはなんて“たやすい”ことなのだろう。W君はあの頃エルパソで、こういう『国境』を見つめていたのだろうか・・・

 幸いU18では、今のところこういう状況(不法滞在)にある子はいない。しかしいつかは、そういう子が来るだろう。今いる子どもたちだって、その可能性(危険性)がないわけではない。子どもは親に従うしかない。子どもを連れて国境を越えることの意味を、親はしっかり見つめなくてはいけない。

アメリカとメキシコの国境(徒歩者用)
メキシコ国境へ徒歩で向かう人々

車で行く時はこの標識に従う

2013年4月1日月曜日

東広島を見てみよう!!

 2013年3月29日、U18は、広島国際センター(HIC)の東広島バスツアーへ行ってきました。子ども25名(インド、インドネシア、ブラジル、ペルー、ベトナム、中国、日本)、その親8名、ヤッチャル5名(日本、インドネシア)、HIC2名、計40名の大集団。アハタジャムデック(忠海:竹原市)→福富道の駅(東広島市)→トムミルクファーム(福富:東広島市)とまわり、とてもおいしい(??)1日を過ごしました。


U18大集合。帰国する友達と一緒に出発前に1枚
 
 アハタジャムデックは、広島県竹原市忠海にあります。瀬戸内の柑橘類(みかん、はっさく、いよかんなど)産地のど真ん中。地理の用語では、これを原料立地と言います。今でこそ輸入物、ご当地ものなど、日本全国バラエティーに富んだジャムがありますが、私の世代(?)の日本人にとっては、ジャムと言えばアハタでした。1932年創業ですから80年以上の歴史があります。
 全員が一番喜んだのは、なんと言っても試食です。イチゴ、ブルーベリー、マンゴー、レモン、桃などが並び、糖度の違うものもあります。VT君は「いつも家にはイチゴジャムしかないから、こんなにたくさん種類があるのに驚いた」と言ってマンゴージャムやレモンジャムを買い込みました。南の国から来た子どもたちにはマンゴーが大人気でした。
ジャムデック前に集合
いろいろなジャムがありました

 次は福富道の駅。お弁当を食べて、たっぷり遊びました。
集まれ〜〜
お弁当タイム。ちょっと寒かった

 最後はトムミルクファームでアイスクリーム作りです。氷と塩と水の中に金属の鍋をおき、アイスクリームの素(ミルク、砂糖、生クリームなど)を入れて、ゆっくり混ぜていきます。しばらくすると、泡立て器が重く感じられるようになり、さらにスプーンでじっくり練り上げます。空気をたっぷり含んだアイスクリームは絶品でした。
集中して混ぜてます
できたよ〜〜
 所々桜も見られた1日の旅、東広島(とお隣の竹原)にはこんなところがあるんだ!とあらたな発見の旅、そしてお互いの距離がとても近くなった旅でした。いつもは何考えているかわからないようなティーンエージャー男子たちが、とても集中して、そして協力してアイスクリームをかき混ぜていました(写真参照)。彼らの別の一面を見ることができたのは、この旅最大の収穫のような気がします。HICのKさん、Mさん、おせわになりました。お疲れ様でした。また行きたいな




2013年3月24日日曜日

たくましさが高校入試合格の秘訣(?)

 2013年の広島県公立高校入試が終了した。今年、U18メンバーで受験したのは2人。なんだかんだの紆余曲折はあったが、2人とも同じ定時制高校へ落ち着いた。昨年合格の3人とあわせて計5名が同じ高校に通うことになった。この高校は、定員割れでも不合格者を出す厳しさで知られて(?)いる。大丈夫だろうと思ってはいたが、2人から合格!の報告を聞いた時は、本当にホッとした。


 2010年にU18を始めて3年が経過した。この間、高校受験では5人が定時制に、ひとりが全日制に合格した。中3での来日が3名、母国と日本を2往復が2名(ひとりが全日制合格者)、中1での来日1名である。
 外国から来て日が浅い子どもの場合、日本語力不足はいかんともしがたい。そもそも、たった1年で高校入試に挑むこと自体無謀である。正直に言えば、どうしてこのタイミングで連れてくるのか!もう少し日本の教育事情、そして子どもの人生を考えて欲しい!と思わずにはいられない(もちろん、そうしたくてもできない事情がたくさんあるのだろうが・・・)。
 加えて広島県の公立高校入試は、漢字のルビうち、時間延長、辞書持ち込みなどが認められていない。この状況では、教科の試験で実力相応の点数をとることは、ほぼ不可能である。その結果、教科学習面では、自分本来の実力とはみあわない高校へ進学する子もいる。数学『命』のTV君を見ていると、宝の持ち腐れでなんとももったいない(ただし、数学、理科以外の教科は、今の高校でじっくり基礎からやる方が良い)。ただし国語となれば、全日制進学を果たした実力者SC君ですら、現代国語や古文は手に負えないと嘆いている。教科による大きなアンバランスは、こうした子どもたちの特徴だ。
 
 それでも日本社会で生きて行くのなら、何が何でも『高卒』になってもらいたい。そう思ってU18では、高校受験希望者を一生懸命応援してきた。親の都合、社会のルールに振り回されながら、高校入試に合格した5人は、本当によくやったと思う。
 
 5人に共通して言えることは、中学の出席率が良いことだ。どの子も1〜3年間で、欠席日数が片手で足りてしまう。一言もわからない言葉に囲まれながらの(ほぼ)皆勤賞。高校入試でも、この点は大いに評価されているにちがいない(私の推測だが)。
 毎日学校へ行って日本語に囲まれていれば、自ずと日本語の力も上がってくる。「私が貴校を志望した理由は〜〜」など、面接独特の日本語もみんな必死で覚えた。その日本語レベルから見たらあり得ない単語、なぜ『貴』なんていうのか、その意味すらよくわかっていない。それでも入試本番では、堂々とこの言葉を使ってのりきった。

 5人を見ていると、私の頭にわが子の言葉が浮かんでくる。
「いきなり日本人の全くいない外国の学校へ投げ込まれて、一言もわからない言葉に囲まれて毎日を過ごす。あの大変さは経験した人にしかわからない。『あれ』を乗り切ったことは自分の自信につながっている。『あれ』より大変なことなんて、そうはないぞ!!と思えるからね」
 5人も『あれ』を乗り切った子どもたちだ。その一番の持ち味はたくましさ!合格後、さっさとアルバイトを決めるなど、日本人の子でもなかなかできることではない(脱帽)

 でも高校生活はゴールではなく始まりだよ。自分の夢を叶えたかったら、アルバイトだけでなく、もっともっと勉強しなくちゃね!一緒に勉強したいと思ったらいつでもU18にもどっておいで。待ってるよ(

 

2013年3月20日水曜日

thumb impression

 U18のSIさんたちが、パスポートを更新することになった。日本に来てちょうど3年になる。その国では16歳以下の子どもの場合、パスポートの有効期間は3年だそうだ。

「わからない言葉があるから助けてください」
SIさんから差し出された申請書類は英語で書かれていた。公的手続き書類独特の単語や言い回しがかなりたくさんある。これを読みこなして必要事項を記入するには、それなりの英語力が必要だ。SIさん一家の英語力では、かなり苦しいとお見受けした。
 SIさんの国は、世界に名だたる多言語国家である。一家の母語も英語ではない言語だ。おそらく本国で申請すれば、他の言語で書かれた書類があるのだろうが、日本では入手できなかったのだろうか?

 記入項目のうち名前、生年月日、誕生地、現住所などは、どこの国でも共通だ。これは問題なくできる。他には目の色、身長、目につく特徴(あざや傷跡などだろうか?)などの身体情報を書き込む欄がある。日本ではこういうのはあまりお目にかからないが、世界的に見ると結構一般的なのかもしれない。そういえば、アメリカの運転免許申請でも、身長、目の色などを書かされた。余談だが、私は156cmと書いたら、見事に突き返されてしまった。5.2と書かなくてはいけなかったのだ(5フィート2インチのことです)。アメリカは、数少ないメートル法が通用しない(にくい)国だったのだ。

 子どもの申請書には親の同意(承認)が必要である。日本ではこういう場合は、署名、捺印だが、外国ではサインが一般的だ。日本の印鑑証明にあたるNotarization(サイン認証)が必要な場合もある。SIさんの国の書類では、サインまたは拇印 thumb impression 略してT.I.)と書かれていた。これは初めて知った。文字が書けない人への配慮なのだろうかそう言うと、(同席していた)SIさんのお父さんは深くうなずいた。識字率が平均70%台だから、当然と言えば当然の配慮なのだろう。おもしろい(?)ことに、男性は左手の親指、女性は右手の親指となっている。なぜだろう?

 お役所への申請には、その国の言語事情が如実に表れる。SIさんたちの様子を見ていたら、日本という国のシステムが、だれもが日本語を読み書きできることを前提にしているということを、あらためて痛感させられた(
 

2013年2月27日水曜日

大切なことは何か?

 TC君(ブログ初登場)と高校受験用の面接対策をした。彼は、3才で母国→日本、小学校低学年で日本→母国、小学校高学年で母国→日本という、いわゆる『移動する子ども』である。1年半前「学校の勉強について行けないのでなんとかしたい」とU18にやってきた。確かにテストの点数や成績表は、かなり深刻な状況だった。塾に行ったこともあるが、成績は上がらなかったと言う。聞けば、家庭環境もかなり複雑で、家庭言語も2言語ミックス状態だ。3歳以降、彼の中で二つの言語が激しく入り交じり、入れ替わっている。日本語に関しては、話すのは流暢である。実は、これが大きな誤解を生む。日本語に問題なしと思われ、適当なサポートが受けられないのだ。しかし、読み書き、語彙力、さらには基礎学力は、同学年の日本人レベルから見れば、かなり見劣りがする。これでは、中学の学習を自力でやれ!というのは酷だろう。

 それから、時間を見つけては彼と一緒に勉強した。残念ながら学力面では、飛躍的な伸びには結びつかなかった(多少テストの点数は上がったが)。しかし、私はあまり心配していない。なぜなら、一緒に勉強していくうちに、だんだん彼のことが見えてきたからだ。彼は自分のことがよくわかっている。努力する方法を知っている。何より人を見る目がしっかりしている。

 面接対策の中で、彼に休みの日の過ごし方を聞いた。
「パソコンでいろいろ調べることが多いかな。友達がAKBのファンなんだ。おたくって言うんでしょ?でも、友達の言うこと、知らないことばかり。だからユーチューブ見たりする。それから社会問題に興味があるから、竹島、尖閣諸島とか・・・いろいろ見るよ。最近よく聞くアベノミクスって何?どう思う?
「そうやって調べておいて、次の日、自分から友達との会話に加わるんだ。友達と話が合うと、とても楽しいよ」
いきなり、アベノミクスなんて言われても、こっちが返答に困っちゃうよ。でも、こういう気持ちと実行力があったら、言語のハンディなんて吹っ飛ばしちゃいそうだ。
 
自分の長所、短所については
「長所なんてあるかなあ。短所はあきらめが早いことだな」
短所は確かに当たっている。勉強でも、数学、英語などかなり粘りが足りない。長所については、私から提案してみた。
「君のような環境(特に家庭環境)で育ったら、中にはグレて(この言葉はわからなかったので、悪いことをすると言い直した)しまう子もいるよ。でも君は素直だし、家族のこともすごく冷静に見ているよね。自分の置かれている状況や自分の気持ちを、的確な日本語で表現することもできる。君の言葉を聞いていると、正直言って、時々(その言語センスに)やられたって思うことがある。君の年齢で、これってすごいことなんじゃない?だから、長所は『芯が強い。自分を律することができる』とでも言ったら良いと思うよ」
彼はそうかなあと頭をかいていたが、まんざらではなさそうだ。それでも照れ隠しなのか
「僕には、グレてしまうだけの思い切りがないんだ。それに、親に迷惑がかかるでしょ。そういうのってめんどくさい。だから悪いことはやらない」
恐れ入りました。本当に自分をきちんと見つめている。

 2言語環境で育つ子どもたちと付き合うとき、とかく支援する側は、ダブルリミテッドとか、言語レベルとか、成績アップとかにとらわれがちだ。確かに彼は、母語の読み書きはほとんどできない(話すのは多少できる)し、日本語で学年相応の学習をするのも大変だ。定義上は、正真正銘の(?)ダブルリミテッドだろう。しかし、彼の心の確かさは本物だ。あの家庭環境で、あの言語状態で、あの心はどうやって育まれたのだろう?彼を見ていると、子どもに向き合う時、本当に大切なことは何なのか、根本的に問い直せと言われているような気がする(


2013年2月25日月曜日

中国帰国者たちの日本語教室

 広島市内の日本語教室を見学した。土曜日の昼下がり、三々五々集まって来たのは中国帰国者の方たちで、70代から小学校1年生まで総勢17名。6対11で女性優位である。


皆さん、一生懸命プリントに取り組んでます


 今日の勉強は『にほんごこれだけ!2』(ココ出版)のp90〜91。「はやくべんきょうしなさい」「たばこをすってもいいですか」「静かにしなさい」「とまりなさい」「まちなさい」などのフレーズを適する絵と線で結んでいく。17人の日本語レベルはまちまちだ。さっさと課題を終えて、おしゃべりしている人もいるが、何人かは、ひらがなを読むのも大変そうで、手は途中で止まってしまった。それでも答え合わせになると、教室が俄然にぎやかになる。生活の場でなじみのあるフレーズばかりなので、(うまく読めなくても)耳で聞けばわかるようだ。「たばこをすってもいいですか?」には「僕はいつも外ですいます(から大丈夫です)」、「待ちなさい!」(正解は警官と泥棒の絵)には、「いつも使うのは『待ってください』だけど、警官が泥棒に『待ってください』じゃ、泥棒が逃げちゃうね」。ユーモラスな答えに、みんな大笑いした。

 こうして授業は和やかに進んでいくが、最後列でそれを見ていると、ついつい、皆さんはどういう人生を歩んで来たのかなと考えさせられてしまう。特に気になるのは、本人は中国人で、パートナー(残留日本人)の強い希望があったから、自分のキャリアをなげうって日本に来たという方だ。この人にとっては、日本に来るのは『帰国』ではない。もうリタイアする年齢だと思われるが、仕事があるときは仕事に行くそうだ。仕事の呼び出し電話が、当日朝にかかってくるのが辛いねと顔をしかめる。

 授業の最後は『北国の春』の大合唱だった。この歌、本当に根強い人気がある。皆さんの明るい歌声を聞いているうちに、私の頭には、ある中国帰国者の言葉が浮かんできた。

「中国にいれば日本人と言われ、日本では中国人に見られる」

 今は日本に『帰国』したその人の『あのふ〜るさと♪』って、どこなのだろう
 

2013年2月12日火曜日

日本語スピーチコンテスト@庄原

 連休行事、その2は広島国際センター主催の多文化共生シンポジウム@広島市。田村太郎氏の講演と、安芸高田、福山、呉の取り組み紹介、中国、カナダの方のコメントなど盛りだくさん。広島県内、それぞれの地域でそれぞれの取り組みがなされています。

 そして、いよいよ(?)その3です。 広島県北部の庄原市へ出かけました。しょうばら国際交流協会主催の『日本語学習者による日本語スピーチコンテスト&新年会』に東広島から数人が出場したので、応援ツアーです。前日(2/9)が机の上の勉強(講義:シンポジウム)なら、この日はまさに実習(現場体験)です。
 まずは、好天に恵まれ、雪道の心配もなく東広島→三次→庄原との車に総勢7名が乗り込んで快適なドライブ。三波羅川沿いの桜並木、君田温泉、某グルメマンガにも取り上げられたわに料理(皆さんご存じですか?アリゲーターじゃないですよ)など、観光おすすめスポット満載コース。今度は遊びに来るぞ!!と決意を新たにしました。

 さて、日本語スピーチです。ベトナム、中国、インドネシア、ブラジル、アメリカ、台湾、ジャマイカ、タイの8カ国16人が登場。中国山地の真ん中でも、これだけの顔ぶれ(国籍)がそろう。本当に国際化の波は日本全国に及んでます。11回目ということもあり、しっかり地域に定着したイベント(というか年中行事)になっています。

日本語スピーチコンテスト表彰式後の記念撮影
 表彰式では、金、銀、銅、特別賞以外に、『二つの国の架け橋になりま賞』』のような、工夫を凝らしたネーミングの賞がたくさん用意され、参加者全員に贈られました。このとき、東広島から参加したSさん(中国)は、プレゼンターのしょうばら国際交流協会会長と握手を交わし、その姿を撮影してもらいました。お二人ともちょっと恰幅がよくて堂々とした雰囲気なので、まるで日中友好条約調印後の国家主席と首相みたい〜と、東広島応援団には大受けでした。その後、全員が握手して写真をとったので、Sさんは「僕がはじめたことなんだよ!!」と満足気でした。
 ポットラックパーティーでは、餃子、ナムル、巻き寿司をはじめ、各国料理ズラリのまさにインターナショナルバイキング。ヤッチャル最年少で大学の寮で生活しているノンちゃんは、日頃の食の欲求不満を一挙解消とばかりに、目を輝かせて食べまくっていました。ただし一番感激していたのがミスドっていうのは、現代っ子ですねえ・・・

 今日の“現場体験”でいちばん感じたのは、スピーチ、ポットラックともに、手作り感に溢れ、大変アットホームな雰囲気だったということです。規模の小さい自治体ならではの、多文化共生への取り組みを見ることができました。
 そして、庄原市民でなくてもウエルカムというのは、とてもうれしいことでした。地元庄原だけでなく、東広島、安芸高田などからも参加者があり、さらには廿日市(はつかいちと読みます。広島県西部)からは、参加者の義父母も駆けつけてきました。こうした開かれた雰囲気なら、他自治体住民との交流や連携が自然にできますね。そして庄原をピーアールするよい機会にもなります。はビンゴで幸運にも景品をゲットしたのですが、それは庄原市高野町の特産品詰め合わせセット!こういうのを頂いたら、その地域への興味が自然とわいてきます。

 そんな暖かい雰囲気は、東広島からの参加者の心をとらえました。帰りの車では、みんな口々に「また来ようね!!」お世話になりました(
 

2013年2月11日月曜日

東広島市多文化共生講演会

 この連休は東広島市→広島市→庄原市と行事3連発。どの行事も、皆が熱く熱く語りました!!それぞれの語りから、それぞれの思いが強く伝わってきました。

その1:多文化共生講演会@東広島市(2013/02/08)
外国籍住民は語る!!
 講師は多文化共生マネージャー全国協議会事務局長の時光(とき ひかる)さんです。は、2010年にJIAM(全国市町村国際文化研究所)の研修で時さんにお世話になったので、懐かしい再会でした。
 時さんは、日本で生活する外国人住民の実情を、ご自身の経験を踏まえて熱く熱く語ってくれました。今では本当に流暢な日本語を話す(2010年の時もうまかったけど、さらに磨きがかかっていました)時さんが、来日当時は日本語ゼロだったそうです。本当にどれほど努力したのだろうと頭が下がりました。東広島在住のフィリピン、インドネシアのお二人も実情を話してくれました。お二人はゆっくり、訥々と語ってくれました。多くの人の前で日本語で語るのは、とても勇気のいることだったと思います。
 
 日本には約208万人(総人口の1.63%、2011年現在)、東広島市は約4600人(2012年3月現在)の外国人が住んでいます。『外国人はなぜ日本に来るのか?』おそらく私たちの誰もが持っている素朴な疑問です。それを知る手がかりの一つは『なぜ受け入れているのか』を知ることです。国際人口移動のメカニズムは、実はそれほど難しいものではありません。要するに、送り出す方、受け入れる方、双方に理由(必要)があるからです。一方だけの理由では、移動は成り立ちません。
 その一例が、講演の配布資料にあった『日本人との結婚を仲介する会社(?)のHP』です。今までそういうところがあるんだなと思ってはいましたが・・・改めて検索してみて、本当に無数にあるということを知りました。その料金には、思わず溜息をついてしまいましたが、それを負担してでも利用する人が双方にたくさんいる。だから商売が成り立つ。U18にも、このパターンで日本に来たと思われる子は結構います。子どもたちはほとんど何も言いませんが、おそらく心に秘めていることはたくさんあるでしょう。多文化共生への第一歩、それは『現実を知ること』だと改めて感じた夜でした

2013年1月31日木曜日

『無視』したんだよ・・・

 このところ、子どもたちは本当に元気です。1月29日の活動も出席者16人。ヤッチャル一同(この日は5人)ぜーぜーはーはー(笑)です。

 前回「宿題がない」と涙目だったA君。この日は上機嫌で宿題をやっていました。「先生に手紙渡したの?」「うん!!!」よかったね。でもよく見るとその宿題は割り算の筆算がズラリ並んでいるだけ。どうやら“日本語が必要な宿題”はまだの様子です(溜息)。

 さて、今日の話題は『無視』です。なんか聞き捨てならないですねえ・・・
発端は低学年男子(1、2)の会話です。
男1「Z君はいつもうるさいんだよ。今日は帰りに僕のこと手でぼんっ!て押してきた」
男2「ぼくもやられたよ。だからZ君のことはほっといて、二人で走って帰ってきた」
男1「そうだよ。僕たちZ君のこと、無視したんだ!
そこへ割って入ってきた高学年男子(男3)
男3「そうだよ、ぼくも時々あいつのこと無視するよ」
さらにもう一人の思春期男子(男4)
男4「無視ってなに?」

う〜ん無視とは、あまりいい言葉ではないですねえ・・・
無視は日本語能力試験(旧)では2級の語彙です。普通に考えれば、日本に来て1年に満たない、しかも低学年の子が使いこなせる言葉ではないでしょう。でも、この状況(シチュエーション)は、子どもの世界では頻繁に起こります。敏感にキャッチしなければ生きていく(?)ことはできません。まさに子どもにとっては死活問題!!まず初めに状況があって、そこにまさにツボにはまる言葉がある!!こうなればしめたもの。子どもたちは、確実にこの言葉を自分のものにしました。
 
 実は、男4の質問には、こう答えました。
「Z君と男1.2は3人で学校から帰っている。2人はそれがわかっていたのに、意地悪されたから、Z君のことがいやになった。だから、わざとZ君がいないように行動(置き去りにして逃げた)した。このわざとというところが大事なんだけど・・・わかる?」
いやはや難しいですね。でも男1、2には、何の説明もいりません(あの状況が頭にあるのだから)
 
 子どもたちの語彙を考えるとき、(大人標準の)難易度が当てはまらないことは、よくあります。私はしょっちゅう「あんた、なんでこんなことばがわかるの?」なんて驚いています。そういうのは、ほとんどこの無視のような、言ってみればサバイバル語彙です。

 そういえば川上先生(早稲田大学)の講演にありましたね。子どもが言葉を学ぶ時とは

子どもにとって意味のある場面で、意味のある内容を、意味のある人へ


 この無視は、子どもたちにとって本当に意味のある言葉=生きた日本語だったのではないでしょうか。ホントに1級、2級というレベル分けなんか、子どもには『かんけーねえ〜!!』です。
 とはいえ男4は、今まで無視されたことがなかったんでしょうかねぇ(

2013年1月23日水曜日

ぼくだって宿題がしたいんだよ!!

 昨日(2013/01/22)は定例活動でした。早稲田大学の川上先生の講演(前回の書き込み)を聞いて、ヤッチャルメンバーは何となく気持ちが高揚していましたが(私だけかな??)、それがわかっていたのか、15人もの子どもたちがやって来て、元気で活発でうるさすぎるくらいの活動になりました。

 そんな大騒ぎの中で、何となく元気がなかったのが小3のA君。いつもは宿題を持ってきて、さっさと片付けてから遊び始めるのに、手持ちぶさたな様子。留学生のIさん(前々回登場)が聞いたら、どうやら担任から宿題を渡されていないらしい。A君曰く
「先生は『日本語が難しいから、君はやらなくていいよ』って言った。だから、ぼくの宿題はないよ」
必死になって訴えるA君はちょっと涙目になっています。そこで、改めて彼に
「みんなと一緒に宿題したいよね?」と聞くと、こっくりうなづきます。
「でも自分だけでやるのは大変だよね?」これもうんとうなづきます。
「そうだよね。でもやれるところだけでもちゃんとやった方がいいし、わからなかったらU18に来て一緒に勉強すればいいんだから、ちゃんと学校の先生に宿題もらおうか?」
A君は、「U18で一緒に勉強」という言葉を聞いたとき、本当に!!にっこりしてくれました。その表情に私は驚いたのですが、同時にたいへんうれしかったです。そんな風に思ってくれていたんだ!!

 「君にはまだ無理だから、宿題は出さないよ。この宿題はやらなくてもいいよ」
実はこれは、外国人の子どもに対して陥りやすい落とし穴です。日本の学校だけでなく、どこの国の学校でも見られます。よかれと思っての配慮の時もあるでしょうし、単にめんどくさいということもありえます。今回も良い方にとらえれば、先生はやれないものを渡してその子が苦しんでしまうのを避けようとしたのかもしれません。まじめな子ほど、自分の力とかけ離れたものでもやろうとしてもがいてしまいます。それでも、クラスのみんなが宿題をもらう中で「君はやらなくてもいいよ」と言われたら、子どもの心は傷ついてしまうでしょう。何より、その子は学ぶ機会を奪われてしまいます。
 クラス全体を見る担任教師にとって、一人の外国人の子どもに「日本語力に配慮して、その子にあった宿題を出してください」というのは、なかなか大変な仕事かもしれません。それでも「やれるところだけでもやろうね」「君はこれ(できる宿題)をやろうね」など、ちょっと気をつけてくれないかなあ。きちんと説明すれば子どもはわかってくれるはず。

 と言うことでA君は手紙を書きました。
「〜〜先生へ。ぼくもしゅうくだいがしたいです。ぼくにもしゅうくだいをだしてください。Aより」(宿題の表記に「う」の音が入っていました。正しく書くのは難しいね!)
先生にA君の気持ちが伝わることを祈っています(



2013年1月21日月曜日

年少者日本語教育指導者のための出前講演会

 2013年1月20日、早稲田大学の川上郁雄先生が東広島に来てくださいました。タイトルにあるように『出前』講座です。本当に有り難いことでした。豊富な具体例(子どもの作文など)をまじえての説明、困っていることへの具体的な対策など、わかりやすく示唆に富んだ内容で、参加者から「すばらしかった」「胸の中にあったもやもやが晴れた」「これからの道筋を教えてもらった」などの声が聞かれました。何より、先生の子どもに対する暖かい『まなざし』がとても印象的でした。早稲田出身タレントの持ちネタ(「そんなのかんけーねぇ〜」)にあまり反応が無かったときは「あれっ?」という感じでしたが、随所にさりげなくユーモアが入り、会場の空気はとても和みました。

たくさんの方が来てくれました!!

 一番印象に残ったのは、『(その国に)定住する子、一時的に滞在する子で区別するのではなく、どの子にも「複数言語で成長した自分」ときちんと向き合わせ(意識をもたせ)、複数言語との距離感を調整する力を自分で持てるように(サポート)することが、アイデンティティ形成にもつながる』という指摘でした。
 確かに定住する子は、生きる軸は見つけやすいです。進学、就職、そのためにはどの言語が必要か、何をしなくてはならないかなど、具体的に描くことができます(もちろんそれは並大抵のことではありません。想像を絶する苦労です)。指導者も腰を据えて指導するでしょう。母語に対する姿勢も決まってきます(必要ないというのは困りますけど)
 しかし滞在型、つまり2〜3年外国で過ごす子は、必死になって勉強した言語は帰国したら必要ない(から忘れてしまう)、外国にいる間どうしても母語がおろそかになる。どっちつかずで何とも中途半端な状態になってしまいます。いつか「あの苦労はなんだったんだろう」と思うかもしれません。加えて多くの親は、そんな子どもの状態を理解しきれない(自分に経験がないのだから)。
 川上先生の言葉を聞いて、私は滞在型の子どもに対する時、心のどこかに「この子は数年したら帰国するんだから・・・」という気持ちがあることを痛感しました。でも、それは全く持って私の方の都合なんですね。子どもにとって、どんな1年、どんな2年でも、本当に大切な時間です。おろそかにして良いなんてことは絶対にありえない。

 最近、小学校の4〜6年をアメリカで過ごしたわが子(今は20歳を超えた立派な(?)大人になっています)から、こんなことを言われました。
「自分のホームタウンはアメリカのあの町だと思っている。それくらい自分には、あの体験は強烈だった。私のことを見ても、子ども時代の数年間の経験が、その子にどれほど大きな影響を及ぼすかわかるでしょ。U18の子どもたちにも、そういう子はきっといるよ」
 
 その子の中に「複数言語で過ごした時代」というのは必ず残り、むしろ大きな影響を及ぼしている。だからこそ、それに向き合える心を育てる(支援する)べきだという川上先生の言葉は、まさに私に向かって投げかけられたものだったのかもしれない・・・(

2013年1月9日水曜日

若い力、そして留学生も活躍中

 みなさま、新年明けましておめでとうございます。昨日は、新年最初の活動日でした。元気な子どもたちと一緒に勉強したり、遊んだり、いつもの光景が繰り広げられました。2013年も外国につながる子どもたち、そして日本の子どもたちと一緒に、楽しく活動していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

 このところ、ヤッチャルでは若い力、それも留学生が大活躍です。一人はインドネシアからのUさん、もう一人は中国からのYさん。さらには目下一時帰国中ですが、もうすぐ帰って来て大学院生になるIさん(インドネシア)もいます。3人とも日本語が堪能で、とっても明るい性格です。最近インドネシアの子どもがすごく多いので、Uさん、Iさんの参加は本当に有り難いです。昨日も、国語や算数の文章題を、母語に訳して説明してくれたので、子どもたちの理解がグンと良くなりました。
 ところで、12月に東広島市で行われた日本語ボランティア講習会で、講師の森先生(帝塚山大学)「いい教室の指標は、大学生などの若い世代と外国籍のボランティアの参加度」とおっしゃっていました。ヤッチャルには、活動開始当初から地元の大学生がボランティアとして参加しています。中には卒論に「子どもの日本語指導」を選ぶ学生もいて、貴重な実践の場にもなっています。大学生、留学生がアクティブメンバーというのは、どうやらヤッチャルは、(森先生指標によれば)良い教室(団体)と言えそうです(自画自賛)!!学生、留学生にとっても、大学から飛び出して地元のおばさん(??)たちと一緒になんかするのは、貴重な経験になるでしょう。そしておばさんたちも、若い力からとても良い刺激を受けています。
 
 Uさんに「いつも活動を助けてくれてありがとう」と言ったら、「いえいえ、私の国の子どもたちを助けてくれて、こちらこそありがとう」と返ってきました(