2013年9月10日火曜日

N3合格!したけれど・・・

 7月に行われた日本語能力試験の結果が出ました。本ブログでおなじみ(?)のVT君、N3に合格です。中3のはじめに来日して2年半、2度目のチャレンジ、おめでとう!

 実はVT君、1回目は僅か数点で涙をのみました。今回は、合格最低点よりかなり上の点数で、余裕の合格です。しかしからは厳しい言葉が飛んできました。
「こんなんで満足してちゃだめ!この点数じゃN2はきびしいよ」
 彼は一応、大学を目指していますから、の言うことはもっともです。実は日頃からヤッチャル一同、進学希望の割に行動がぬる〜〜い彼にやきもきさせられています。確かに『こんなんで満足してはだめ』なのですが、こればっかりは本人次第ですからねぇ。

 さて、得点をもう少し細かく見てみると、聴解は満点、文法はA、しかし語彙、読解はイマイチ。彼くらいの年齢で、しかもきちんと学校へ行っている子は聴解は大丈夫です。これは昨年の研究でも証明(?)されています。読解は日頃きちんと解答できるので、ちょっと意外だったのですが・・・得意と思っていてツメが甘かったようです。本番では時間が限られてますから、マイペースで読んでいてはだめですね!!普段から、時間を区切って読む練習が必要です。

 1回目の時から、彼の弱点は語彙(漢字)です。漢字圏出身では無いので、やむをえない面もあるのですが・・・今の彼は、耳から聞く日本語がある程度理解でき、必要最低限のボキャブラリーが形成され、それを駆使してある程度のコミュニケーションができる段階にはきていますが、そのレベルでとどまって(満足してしまって?)いる感じです。もちろん、学校の勉強はしているので、まったくの会話日本語ではありませんが、とにかく『読み』の量が絶対的に足りません。『名探偵コナン』の一気読み(実は1〜57巻はの私物)はできても、自分から進んで文章を読むことはないし、何より辞書の利用率が非常に低いです。彼くらいの年齢で、彼くらいの日本語力の子にあった読み物教材も、なかなかいいのがありません。
 語彙力不足は、♪が昨年から行っている語彙力チェック(これも昨年の研究参照)にも、明白に現れています。これはVT君だけでなく、U18のティーンエージャー組全般に言えることです。日本語を第2言語とする子たちの抽象語彙力はなかなか伸びません。もちろんVT君のように、10代なかばを過ぎてから日本に来た子は、その面を母語である程度補完できます。しかしそれで満足していては、日本で受験、さらにはクリエイティブな仕事をするのは困難です。

 N3合格によって、彼の課題が明白に浮かび上がってきました。VT君、現実を見よ!