2013年11月5日火曜日

悔しくないの!!?

 日本語を母語としない子どもたち。特に高学年から日本に来て、短期間で中学へすすんだ場合、日本語で学習するのは、よほどのサポートがないと困難だ。学校で日本語指導がなされたとしても、家に帰って自習できる子はまずいない。そんな子どもに、手を貸したつもりになっているのだろうか。最近、あらかじめ宿題の答えを渡し「写してきなさい」という指導にしばしば出くわす。

 U18にも、そのような指導をされている子がいる。中1の男の子だ。最近、あまり顔を見せないから気にかかっていたが、先週、めずらしくコミュニケーションコーナーで漢字の書き取りをしていた。彼は一生懸命手を動かしながら
「先生、ここの答えって、どこに書いてあるの?」
ワークブックの欄外に書いてある正答の場所を聞いてくる。25ページの問題の答えは25から26ページの欄外にまたがっているので、回答欄と正解の問題ナンバーが、なかなか一致しないようだ。彼に聞いてみた。
 「誰が、答えはここって教えてくれたの?」
「宿題を出した先生だよ。ここからここまで、しっかり写してきなさいって言われた。その先生は、テストの時も僕にだけ答えをくれるよ。僕は一番後ろの席に座っているから、答えもらっても、みんなあまり気がつかないよ。それを見て書くから、 僕はいつもテスト100点だよ」

 ありえない!!いったいどういうつもりなんだろう。そりゃ、中学生の漢字の書き取りは大変だ。彼の場合、自力ではほとんどできないだろう。きっといつも0点では、嫌気がさしてくるだろうな。それなら「せめて写してくれれば」ということか??それにしても・・・しばらくすると
「よ〜し、宿題終わり!!早く終わって楽だねえ」
ニコニコして片付けを始めた 。そんな彼にだめもとで聞いてみた。
「この言葉はどういう意味?」
「意味なんて知らないよ。写してるだけだもん」
「そんなんじゃ、授業わからないでしょ?つまらなくない?」
「いいんだよ。宿題簡単に終わるから」
手を動かして、ノートを埋めればそれが宿題だと思っている。楽に早く終わるのは、ラッキーなのだ。でも、これではなんにも覚えない。それ以前に、学習習慣が身につかない。子どもにとって一番大事なのは、学習習慣、そして考える力をつけることではないのか?

それ以上に見てて歯がゆいのは、答えをもらってニコニコしている彼だ。こんなことされて、プライドが傷つかないの?自分だけ特別扱いされて、できないと決めつけられて、悔しくないの?でも、これは彼の責任ではないだろう。家族も教師も、そして私たちも、この子に対して、必要な、そして満足なサポートをしてこなかった。そんな中、彼の感覚は麻痺してしまったようだ。それでも、本当は彼から先生に向かって叫んで欲しい。「馬鹿にしないでくれ!!」と(

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