2014年2月22日土曜日

まさに実感!!まさに本音!!

 早いもので2月も下旬です.まだまだ寒いですね.広島では牡蛎のシーズン真っ盛りです.昨今,広島県の牡蛎産業では,多くの技能実習生(その多くは中国人)が働いています.自分の国を離れ,仕事に追われる日々.早朝,牡蛎を引き上げる海の水は冷たく,牡蛎打ち作業も寒く重労働です.
 
 東広島市は内陸のまちというイメージがありますが,実は海に面していて,牡蛎の名産地『安芸津』があります(町村合併によって加わりました).その安芸津で,2013年9月から日本語教室が開かれています.牡蛎産業で働く技能実習生が来てくれればうれしいなと思っていたのですが,今のところ3人が常連になってくれました.

 昨日(2/21)は『できる日本語』を使って,大きい,多い,うれしい,悲しい,寒いなど,イ形容詞の勉強をしました.ただし教科書だけでなく,随所におしゃべりを挟み,できるだけ日本語を「聞き,話す」ようにします.そんな勉強中,まさに彼らの心の内を映し出すような出来事がありました.

 まずは『うれしい』,これは3人ともOKです(よかった).『悲しい』,これには3人とも怪訝な顔.私は内心「え!こんな “普通” の言葉なのに,まだわかってないの?」(3人はそれぞれ来日1年,半年,3ヶ月)と思ってしまいました.ところが『さびしい』に,3人とも深くうなづくのです.とりわけRさんは『毎日さびしいです』.彼は来日3ヵ月,まさに本音でしょう.日本語経験の一番少ない彼(でも一番勉強熱心)が,きちんとしたセンテンスで答えてくれたので,なんだか余計身につまされました.一緒に勉強していたボランティアさんも「なんだか胸が痛くなります.これが心の叫びなんですね.でも表にだして言うことができてよかったかも」.
 一方,妻子を国に残して来ているHさんは「毎日スカイプしているからさびしくないです」.彼は,いつもこういう答え方をします.でも,強がっているのではなく,彼流の照れ隠しです.半年つきあって,彼の性格が飲み込めてきたので,私はこの答えには安心しています.

 次は『高い』.反対は?と聞くと,3人ともしばらく考えてから,そろって『安い!』.う〜ん,これは生活に密着してますね.『低い』はめったに使わないけど,『安い』は毎日のように使うんでしょうね.調子にのった3人は『〜〜スーパーは高いです.どこのスーパーも高いです』とたたみかけてきます.そりゃ中国に比べれば,そして自分の給料から見れば,日本では何でも高いと感じるのでしょう.さらに『3割引き』『半額』などが飛び出したので,「私も大好きです!」意気投合しました.

 もうひとつは『寒い,冷たい』.「ロシアは『さむいorつめたい』です』
Sさんは「ロシアって何?」.助手のYさん(中国人留学生)が中国語で「ろーしあ」と言ったとたん,Sさんは間髪入れず「寒い!!寒〜い!!ロシアは寒い!」.あまりに実感がこもっていたので,みんな大笑いです.ちなみにSさんは黒竜江省の出身.彼にとっては,ロシア(黒竜江書も含めて?)はまさに「寒い!!」場所なのでしょう.Sさんは,このところ「仕事さえしてればいいんだ.日本語なんて使わないし,勉強なんかしたくない」という気持ちが強くなってきていたので,みんなが心配していました.彼にとって必要なのは,周囲の理解,そして発散でしょう.

 まだまだ,自分から進んで日本語を話すことは少ない3人ですが,半年のあいだに,少しずつうちとけてくれたような気がします.日本語教室が,ちょっとでも胸の内を吐き出す場になれたら,私としてはとてもうれしいです(
日本語教室
安芸津沖のかき筏