2015年10月27日火曜日

ヤツの帰国

 このところU18のティーンエージャー(中学生,高校生など)は揺れている子が多いです.親はよりよい何かを求めて日本に来るのだとは思います.それが子どもにもよかれと信じて・・・いたはず。でも,言語,文化,環境,人間関係(友達,祖父母など)のすべてと決別することが,子どもに何をもたらすかは想像できなかったのかもしれません.親に『振り回される』子どもたちを見ていると,やりきれない思いとともに,怒りのようなものがわき上がってきてしまいます。

からの報告です>
 『人の心のわかるヤツ』が
帰国するという報告を持ってやってきました。親のビザが切れたので帰らざるを得ないのです。親も何とか日本に残れるように頑張っていたのでしょうが、在留延長は認められなかったようです。
小学校6年になる年にやってきて、5年半。「帰るの、残念だね。頑張っていたのにね。後輩にも通訳したりして助けてくれたし・・」と水を向けると

「こんな中途半端な時期(高校2年生)に帰るのはちょっと嫌だ。でもおじいちゃんやおばあさんの生活の状況、それを支えるお父さんのことを考えると責任があるからさ

 17歳が、家の状態を考えて自分にも「責任がある」と言い切っていました。


 親が自分の夢を実現すべく来日。本人は自分のあずかり知らぬところで日本に来て、また、自分の意思を忖度されることもなく帰国する・・。本当にどこにも気持ちの持って行きようがないような状況です。彼の一言一言は胸に突き刺さります。


「どこにいてもきっとおんなじだよ。一番大変なのは人間関係」
「帰国したら,しばらくはおとなしくしている。高校に入る予定だけど、日本にいたということは言わない。いろいろ言われたくないし・・じっと様子を見ることにする」
「じゃなければへらへらしてる」
日本の5年間で処世術をしっかり身に着けたようです)
「帰らなければならないんだったらもう少し飛び出しておけばよかったよ。ちょっとおとなしくしすぎた」
「今の友達とは次に会っても、今みたいな関係は作れないだろうなあ。この年だからいい友達なんだよな」
「今は日本人の友達はいない。いろいろあったんだ・・・」

 5年間でしっかり日本語を身につけ、友達を助けることもできるようになったのに・・

「もう日本に来ることはないよ、きっと。」
 地図で彼の故郷を見ると「そうだねえ、遠いねえ」と言うしかありませんでした。

「日本語を忘れないようにメールちょうだいよ。日本で心配してるからさ」
facebookで友達になりました。でも彼の国はメールやfacebookの環境がよくありません・・・もう会えないかなあ・・・彼は明日帰ります。


キャンプ楽しかったね!!

2015年10月5日月曜日

わたしたちだってやるときはやるんだよ!!


 東広島市教育文化振興事業団では,毎年外国人スピーチコンテストを行います.今年は11月15日(日)です.
 10月4日に,その予選会を行いました.とは言っても出場者は3人だけ.ですが3人ともU18メンバーです,高2のJ君(滞日2年),中3のSさん(滞日6ヶ月),中1のRさん(滞日6ヶ月).いずれも中国出身です.このところU18活動に必ず顔を出す,いってみれば常連さん達です.

 この半年,U18は中国勢が圧倒的多数です.3人以外に,中3のSさん,中2のR君,小6のK君,16才のR君,高2のR君,中1のK君,H君などがいます.ということは活動中,中国語が飛び交い,おしゃべりタイムとなり,勉強に身が入りません.学校で緊張して過ごしているので,そういう時間が必要なことはわかります.それでもときどき「何のためにU18に来てるの!」と,カツを入れるのですが,多勢なこともありうまくいきません.

 日頃そんな状態ですから,いくら「出たい」といっても,そもそも原稿ができるのか,は半信半疑でした.事実,前日(10/3)の活動のときには,ようやく原稿が形をなした状態でした.読み,話す練習はまったく不十分・・・

 そして予選会.Rさんは,日本の中学校での出来事を生き生きと語りました.1人だけ規定のソックスをはいていなかったことを,みんなの前で「日本語がわからなかったからだね」と注意され,とても恥ずかしかったそうです.先生は,そう言うことで「Rさんが悪かったんじゃない」ということをみんなに伝えたかったのかもしれません.でも本人は少し傷ついてしまったようです.

 J君は,日本にきてからしばらくまじめに日本語を勉強しなかったので,友達と話す事ができなかった.これじゃダメだと思って,高校に入ってからU18にもどってきた経緯を生き生きと話してくれました(これは私たちにとってとてもうれしいことです).将来,自分みたいに日本語のわからない人をサポートしたいと力強く宣言しました!!

 Sさんも,いっしょうけんめい「日本語がうまくなりたい.そうなったら,沖縄に行ってきれいな海が見たい」と語ってくれました.

 3人とも立ち往生することなく,しっかり話す事ができました.の言葉を借りれば

「出来不出来はともかく、みんなそれなりに頑張りました。いつもダラダラして、勉強に身が入らない子たちですが、やる時はやるんだなあ・・と感心させられました」
 
 また、U18の仲間K君,H君が聞きに来てくれました.H君は,日本語の先生達の講評を,上手に中国語訳して3人に伝えてくれました.

 結局,3人とも本選に申し込むことになりました。この後1か月、スピーチの時間(5〜8分)に合うように文章を練り直し、発表の練習をして、さらに大人の申し込み具合も見て、出場を最終判断します.ぜひ,3人とも出場して欲しいです.

やればできる!!子どもたちの無限の可能性を見ることができて,とてもハッピーな一日でした.
がんばった3人!!

みんなでにっこり!!